明治時代、邯鄲返しの山辺音槌(やまべおとつち)という大泥棒が存在しました。こういう顔の人です。 当時はかなりの有名人で、小説が書かれたり、寺田寅彦が言及したりしています。優秀な人で、泥棒にならず社会のために働いていれば、どんなに活躍できたかと、その運命を惜しむ人もわりといたみたいです。 その山辺音槌が後輩の泥棒のために作った『逃げきるための一三箇条』というのがあったので紹介します。 原文は文語と口語の真ん中くらいな文体で読みにくかったり、現代の感覚では理解できない部分があったり、さらには音槌さんの行動を知らなければ意味が分からなかったりするところがあるので、私が適当に現代人向けに翻訳しました。 警察官や刑事に声をかけられて、驚いたり逃げたりするようでは、とうてい大泥棒にはなれない弟子入りしたり弟子を取ったりするのは命取り、悪運を縮めてしまう死ぬ程に惚れた女であろうとも、本名と秘密は絶対に語