未来の自動車技術の最有力候補はバッテリーかもしれないが、劣勢の水素を切り捨てるべきではない―─。こうした見方に立つBMWやアウディなど一部の大手自動車メーカーは、脱化石燃料に向けた準備の一環として、電気自動車(EV)と並行して水素燃料電池式乗用車のプロトタイプ(試作車)を開発している。 今は米EV大手・テスラが低公害車の開発を方向付けているが、政治の風向きが変わって業界のバランスが水素にシフトする可能性を計算し、「保険」を掛けている形だ。 この点で、自動車産業の世界的拠点・ドイツが注目を集めている。既に気候変動目標達成のために鉄鋼や化学などの分野で水素燃料技術に巨額の資金を投じており、今月の総選挙で環境重視の「緑の党」が連立政権に加われば、技術開発に弾みが付きそうだ。 ドイツの自動車メーカーで水素技術への取り組みが最も進んでいるのがBMWだ。2030年前後に市販車を投入する道筋を描き、世界