「静脈認証でさえ、偽造指に対するぜい弱性は否定できない」--。6月29日から7月1日まで東京で開催された「情報セキュリティEXPO」で、セミナーの演壇に立った横浜国立大学の松本勉教授はこう警告した。偽造/盗難キャッシュカード対策として金融業界で急速に普及しつつある静脈認証について、客観的なぜい弱性評価の必要性を示したものだ。 静脈認証は指、手のひら、手の甲などに赤外線を当て、体内にある血管の形状パターンを元に個人を識別する。指紋認証などと異なり、表から見える身体的特徴を使わないことから、「なりすまし」に強いと一般に思われている。だが実は、静脈認証の歴史は浅く、ぜい弱性が十分に検証されてきたとは言えない。 松本教授は比較的簡単に入手できる素材を選んで、人の指に似た光の透過率を持つ2種類の模型を作成した。その一つは、野菜の大根を棒状に切りラップで包んだもの(写真)。もう一つは、スキー場の人工雪