1.客観的に守備を評価する視点 野手の守備力を客観的かつ定量的に評価するということは、かつてはほとんど行われていないことだった。公的に用いられる守備の指標と言えば、守備率くらいしかなかったのである。しかし、定型的かつ言い尽くされた批判で恐縮だが、守備率は関与した機会のうち失策しなかった割合を表すものであり、失策という記録が主観的なものであることに加えて野手がどれだけ積極的にアウトを奪ったかということは評価に表れない。守備率を守備の評価とすることは筋道として妥当とは言ないだろう。 これに対して画期的な評価法を提示したのがセイバーメトリクスの祖、B・ジェイムズである。ジェイムズは野手がアウトにかかわった記録である刺殺および補殺の合計を出場イニング数で割ることで、出場機会においてどれだけ多くアウトを獲得したかという守備の積極的な貢献を評価する指標を作成した。これはRF(Range Facto