『炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火』(スーザン・オーリアン 著/羽田詩津子 訳)早川書房 会ったことはないのに、よく知っている大好きな誰かの伝記を読むようだった。 ロサンゼルスで生まれて、生真面目な、思慮深い、時には風変わりな、たくさんの「本を読むことの伝道者」たちの情熱で育てられた。 建築家バートラム・グッドヒューが瞑想してもらいたいと願った、装飾過多で優美な? 醜悪な? 物語の中へ入っていくようだと称賛されたおとぎの城のような建物。 まわりの人たちに愛され、頼りにされ、自分をみつける大切な場所となり、それぞれの思い出の場所となり心に刻まれ老いていった。 そして、火災にあい死んでしまったロサンゼルス中央図書館。 110万冊の本が黒こげになり、水びたしになった。この世にもう戻ってこない本たちの無念さがたちのぼるようだ。 行ってみたかったと思う。物語の迷宮をさまよってみたかった。来館
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