無謀にも30年戦争に介入して一敗地にまみれたデンマーク王、クレスチャン4世。戦で親友をも亡くしローセンボー城で塞ぎこむ王のもとに、イングランドから美貌のリュート奏者ピーターが訪れる。王はピーターを天使かと見紛い、亡き親友の面影を夢見てピーターを囲い込む。 音楽が好きな王は宮廷楽団を抱えているが、楽団は沈黙の地下のワイン貯蔵室で演奏し特殊なパイプを通じて王の謁見室に妙なる調べが流れるようになっている。王は訪れる人々を驚かせることによって慰めを見出しているのだ。 若い王妃、キアステンの心はとっくに王から離れている。キアステンはドイツ人貴族と密通し官能に溺れている。富裕な地主ヨハンの娘、エミリアは末の弟マークスが生まれた直後に母を亡くす。エミリアとマークスは好色な継母マウダリーナに馴染めないが、愛欲の虜となったヨハンはキアステンの侍女として邪魔になったエミリアを奉公に出す。残されたマークスの痛々