政府・与党の公務員制度改革に公然と反旗を翻し、異彩を放ってきた人事院の谷公士(まさひと)総裁(69)は10日、記者会見を行い、任期を2年半余り残し辞任する考えを表明した。旧郵政事務次官から関連団体などに次々に天下った経歴から「ミスター渡り」と呼ばれる傑物だが、「官僚支配からの脱却」を掲げる民主党が政権の座につく直前に自ら退場の道を選んだ。 谷氏は辞任理由を「国家公務員法改正をめぐる対応で個人的にマスコミを騒がせる事態になったから」と説明。辞表は8月11日に平成21年度の人事院勧告を出した直後、河村建夫官房長官に渡していたという。 「騒がせる事態」とは1月、中央省庁幹部人事を一元化する「内閣人事局」創設を目指した政府・与党に反対したことを指す。 谷氏は人事院の主要機能を内閣に移す構想に激しく抵抗し、政府の国家公務員制度改革推進本部への出席を「オブザーバーだから出席義務はない」と拒否した。その