(英エコノミスト誌 2011年9月17日号) 日本の電力独占体制はコストを押し上げ、技術革新を妨げる。 廊下は暗く、不快なまでに暑かった。東京電力本社の照明は概ね消されており、エアコンの温度は高めに設定されている。9月5日のインタビューでは、西沢俊夫社長でさえもネクタイを外していた。通常であれば、日本の企業人の礼儀に明らかに反するが、今は非常時だ。 3月11日の大震災以降、日本の大半の原子炉が保守点検のために運転が停止され、いまだに再開されていない。54基のうち43基が停止したままだ。全国的に節電に向けた取り組みが展開された。東電としても、痛みを分かち合っていることを示さねばならないのだ。 完全に信頼を失った東京電力 東電は驚くほど不人気だ。福島にある東電の原子力発電所は3月11日に被害を受けた。津波襲来後の命運を左右する数時間に、東電は原子炉の炉心を冷やす水を注入することができなかった。