ブックマーク / nikubeta.hatenablog.com (17)

  • 「第一の戦後」期における「市民」 小熊『〈民主〉と〈愛国〉』 - オシテオサレテ

    〈民主〉と〈愛国〉―戦後日のナショナリズムと公共性 作者: 小熊英二出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2002/11/01メディア: 単行購入: 8人 クリック: 243回この商品を含むブログ (340件) を見る 小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉 戦後日のナショナリズムと公共性』(新曜社、2002年)。 書の主要なテーゼの一つに、1945年から1955年までの「第一の戦後」期と55年体制成立以降の「第二の戦後」期では、さまざまな単語の用いられ方に違いがみられるというものがあります。用法が変化した単語の一つとして挙げられるのが「市民」です。変化の内実を簡単にいうなら、第一の戦後期では市民という単語はおよそ肯定的なニュアンスでは用いられず、第二の戦後期に入ってはじめて肯定的な意味がこめられはじめるというものです。 第一の戦後期では、戦前からの連続性をもってマルクス主義の図式で歴史はとら

    「第一の戦後」期における「市民」 小熊『〈民主〉と〈愛国〉』 - オシテオサレテ
    tsuka_ryo
    tsuka_ryo 2015/07/20
    市民(市民プール的な意味で)
  • 社団を編成する政治権力 二宮「フランス絶対王政の統治構造」 - オシテオサレテ

    ソシアビリテと権力の社会史 (二宮宏之著作集 第3巻) 作者: 二宮宏之,福井憲彦,林田伸一,工藤光一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/12/22メディア: 単行この商品を含むブログを見る 二宮宏之「フランス絶対王政の統治構造」吉岡昭彦、成瀬治編『近代国家形成の諸問題』木鐸社、1979年、183-233ページ(『二宮宏之著作集 第3巻 ソシアビリテと権力の社会史』岩波書店、2011年、133-176ページに収録)。 フランス絶対王政理解のための新しい視角を打ちだした重要な論文である。キーワードは社会的結合関係である。 絶対王政の古典的イメージとは次のようなものである。王はあらゆる法にしばられない。王は官僚機構と常備軍を利用して、王国をあますところなく統治する。しかしこのような絶対王政イメージは近年の研究により掘りくずされはじめている。まずフランス王国の領域は必ずしも判然とし

    社団を編成する政治権力 二宮「フランス絶対王政の統治構造」 - オシテオサレテ
    tsuka_ryo
    tsuka_ryo 2015/05/24
    "王はあらゆる法にしばられない。王は官僚機構と常備軍を利用して、王国をあますところなく統治する。しかしこのような絶対王政イメージは近年の研究により掘りくずされはじめている"
  • となりの異端と新科学 Lüthy, "Confessionalization of Physics" - オシテオサレテ

    Heterodoxy in Early Modern Science And Religion 作者: John Hedley Brooke,Ian MacLean出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand発売日: 2006/01/19メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る Christoph Lüthy, "The Confessionalization of Physics: Heresies, Facts and the Travails of the Republic of Letters," in Heterodoxy in Early Modern Science and Religion, ed. John Brooke and Ian Maclean (Oxford: Oxford University Press, 200

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    tsuka_ryo 2014/09/17
  • 模擬弁論をつくる文献学者 ヴァッラ『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』第1章 - オシテオサレテ

    「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず 作者: ロレンツォヴァッラ,Lorenzo Valla,高橋薫出版社/メーカー: 水声社発売日: 2014/04/01メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る ロレンツォ・ヴァッラ『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』高橋薫訳、水声社、2014年、17-50ページ。 ロレンツォ・ヴァッラが15世紀半ばに著した書物は、ルネサンス人文主義を代表する業績として広く知られている。そこでヴァッラは長きにわたってその真正性が疑われてこなかった文書が捏造であることを暴いてみせた。その文書とはいわゆる「コンスタンティヌスの寄進状」である。コンスタンティヌス大帝が当時の教皇シルウェステルに、西ローマ帝国の支配領域を寄進したと記録する文書である。これが後代の創作であることをヴァッラは人文主義が研ぎ澄ませてきた文献学のメスをふるうことで白日の下にさらしたと

    模擬弁論をつくる文献学者 ヴァッラ『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』第1章 - オシテオサレテ
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    tsuka_ryo 2014/08/10
  • 科学上の革新における文化資源の移入 Rudwick, History of Natural Sciences as Cultural History - オシテオサレテ

    Martin J. S. Rudwick, The History of the Natural Sciences as Cultural History (Amsterdam: Vrije Universiteit te Amsterdam, 1975). ラドウィックがアムステルダム自由大学に着任したさいの就任演説である。いくつかの論点が提示されており、そのなかでいまでも参照に値するのは科学理論における革新は、科学者なり科学者集団に利用可能であった文化資源(cultural resources)から形成されるという洞察である。今日では、ひとつひとつの出来事をとりだせばランダムで予見不可能な現象についても、大量の事例を集めて分析すれば一般的で蓋然的な傾向性が抽出できる可能性があるという認識はあたりまえのものとなっている。だがこの分析手法は、政治家でもあり地質学者でもあったGeorge S

    科学上の革新における文化資源の移入 Rudwick, History of Natural Sciences as Cultural History - オシテオサレテ
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    tsuka_ryo 2014/05/08
  • スコトゥスにおける神の自由と絶対的力 Veldhuis, "Ordained and Absolute Power in Scotus' Ordinatio I 44" - オシテオサレテ

    Henri Veldhuis, "Ordained and Absolute Power in Scotus' Ordinatio I 44," Vivarium 38 (2000): 222–30. http://booksandjournals.brillonline.com/content/journals/10.1163/156853400753621734 神の全能性をめぐる議論の歴史のうちで、スコトゥスは特異な位置をしめてきた。彼は神の絶対的力の意味を変質させたというのだ。絶対的力とは来、創造が必然ではなく神の意志に基づくと論じるための概念であった。創造のとき、神の力だけを考慮すれば、その力は現に創造された世界とは別様の世界をつくりえた。しかし神の意志を考え合わせるならば、神は世界が現にあるように創造されることを望んだのであり、その意味で現在の世界以外の世界が現実化される可能

    スコトゥスにおける神の自由と絶対的力 Veldhuis, "Ordained and Absolute Power in Scotus' Ordinatio I 44" - オシテオサレテ
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    tsuka_ryo 2014/01/07
  • 日本科学史学会第60回年会参加記 - オシテオサレテ

    土曜日から日曜日にかけて日科学史学会の年会に参加してきました。ここではいくつかの一般発表について少しメモを残しておこうと思います。 今井正浩「クリュシッポスと初期アレクサンドリアの医学者たち 人体の中枢器官をめぐる論争史の一端」は、クリュシッポスの心臓中心主義がプラクサゴラスという医学者を根拠としている一方で、有機体として動物が行う自律的運動を魂にではなく自然(フュシス)に帰している点でヘロピロスの人体モデルに依拠していると論じるものでした。この自然概念の構成はガレノスにも近いようにも思えますし、のちのアヴィセンナによる植物は生命を持たないという学説との関係が気になります。いずれにしても、自然というのは明らかに思考を欠く一方で高度な活動を行うことは経験的に明らかという難問を突きつける概念であり、それがヘレニズムから紀元後2世紀くらいまで焦点化していたという印象を受けます。そのような難問に

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    tsuka_ryo 2013/05/27
  • 14世紀哲学における理性と信仰の分離 Leff, "The Fourteenth Century and the Decline of Scholasticism" - オシテオサレテ

    Heresy, Philosophy and Religion in the Medieval West (Variorum Collected Studies) 作者: Gordon Leff出版社/メーカー: Routledge発売日: 2002/07/10メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る Gordon Leff, "The Fourteenth Century and the Decline of Scholasticism," Past and Present 9 (1957): 30–41, repr. in Heresy, Philosophy and Religion in the Medieval West (Aldershot: Ashgate, 2002). 14世紀前半の哲学の特質を見極めようとする論文です。13世紀のス

    14世紀哲学における理性と信仰の分離 Leff, "The Fourteenth Century and the Decline of Scholasticism" - オシテオサレテ
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    tsuka_ryo 2013/03/22
    "信仰の領域を理性から追放するか、理性を信仰に完全に従属させるかという立場の対立が14世紀前半に生まれました。これらのうちの前者はルネサンスと近代科学に、後者は宗教改革に接続することになります"
  • アリストテレスへの文法学的接近 Kessler, "The Lefèvre Enterprise" - オシテオサレテ

    Philosophy in the Sixteenth and Seventeenth Centuries: Conversations with Aristotle 作者: Constance Blackwell,Sachiko Kusukawa出版社/メーカー: Routledge発売日: 1999/12/28メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る Eckhard Kessler, "Introducing Aristotle to the Sixteenth Century: The Lefèvre Enterprise," in Philosophy in the Sixteenth and Seventeenth Centuries: Conversations with Aristotle, ed. Constance Blackwel

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    tsuka_ryo 2012/10/07
  • 過去の言葉を聞く ギンズブルグ「わたしたちの言葉と彼らの言葉」 - オシテオサレテ

    思想 2012年 07月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/29メディア: 雑誌 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るHistorical Knowledge: In Quest of Theory, Method and Evidence 作者: Susanna Fellman,Marjatta Rahikainen出版社/メーカー: Cambridge Scholars Pub発売日: 2012/01/01メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る カルロ・ギンズブルグ「わたしたちの言葉と彼らの言葉 歴史家の仕事の現在に関する省察」上村忠男『思想』No. 1059, 2012年7月、33–60ページ。 Carlo Ginzburg, “Our Words, and Theirs: A Reflect

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    tsuka_ryo 2012/07/03
  • スキナーによる思想史の方法 スキナー「思想史における意味と理解」 - オシテオサレテ

    思想史とはなにか―意味とコンテクスト (岩波モダンクラシックス) 作者: クェンティン・スキナー,半沢孝麿,加藤節出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/11/05メディア: 単行 クリック: 38回この商品を含むブログ (18件) を見る クェンティン・スキナー「思想史における意味と理解」『思想史とはなにか』半澤孝麿・加藤節訳、岩波書店、1999年、45–140ページ。 http://www.jstor.org/stable/2504188 1969年に出された思想史の方法論についての有名な論文です。思想史研究者があるテクストを理解しようとするさいに、これまで2つのアプローチが取られてきました。一つは、テクストの意味を決定するのは政治的であったり経済的であったり宗教的であったりするコンテクストだとするものです。対してもう一つはテクストの自律性を強調して、その外部のコンテクストへ

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    tsuka_ryo 2012/06/20
  • 名から名+姓への移行と家族 池上俊一『儀礼と象徴の中世』第2章 - オシテオサレテ

    儀礼と象徴の中世 (ヨーロッパの中世 8) 作者: 池上俊一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/12/19メディア: 単行購入: 5人 クリック: 14回この商品を含むブログ (5件) を見る 池上俊一『儀礼と象徴の中世』岩波書店、2008年、111–135頁。 名しか持っていなかったはずの中世人がいつのまにか姓を持つようになっていることを不思議に思いつつ、そのことの歴史的経緯や意味を調べたことはありませんでした。まさにその問題を家に焦点を当てながら扱った記述に目を通しました。名から名+姓への移行は、1300年前後に大規模に起こりました。使われる名が少なくなり識別が困難となると同時に、家父長を中心とする男系の家の団結が高まり、加えて自治を行うようになった都市が市民の個別的把握を行う必要に迫られていました。こうして名+姓への移行が起こります(実際には地域ごとに、たとえばイタリア

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    tsuka_ryo 2012/05/23
  • とある和算史家の文化財レスキュー活動 - オシテオサレテ

    昨年の地震以後の文化財レスキュー活動の課題提示と、筆者によるその実践の紹介からなる記事を読みました。 科学史研究 2012年 03月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/03/30メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 佐藤賢一「東日大震災以後の被災地史料の保存に対する雑感」『科学史研究』第51巻(No. 261)、2012年、47–49頁。 阪神淡路大震災以降、文化財レスキュー(史料保存レスキュー)という活動が行われてきました。自然災害の被災地に地元からの情報提供を受けた専門家がおもむき、廃棄される前に残された史料を回収し保存・修復するというボランティア活動です。今回の震災(2011年3月11日と4月7日の地震)の場合はいくつかの点でこの活動に難しさをもたらしています。第一に被災範囲が巨大すぎて、文化財の被災状況の把握が困難であ

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    tsuka_ryo 2012/04/08
  • 余白に記された観察 - オシテオサレテ

    Histories of Scientific Observation 作者: Lorraine Daston,Elizabeth Lunbeck出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2011/02/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログを見る Katharine Park, "Observation in the Margins, 500–1500," in Histories of Scientific Observation, ed. Lorraine Daston and Elizabeth Lunbeck (Chicago: University of Chicago Press, 2011), 15–37. 観察を特集した論集から中世を扱った論文です。「余白にある観察」というタイトルからしてしびれる。議論の

    余白に記された観察 - オシテオサレテ
  • 観察の出現 Pomata, "Observation Rising" - オシテオサレテ

    Histories of Scientific Observation 作者: Lorraine Daston,Elizabeth Lunbeck出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2011/02/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログを見る Gianna Pomata, "Observation Rising: Birth of an Epistemic Genre, 1500–1650," in Histories of Scientific Observation, ed. Lorraine Daston and Elizabeth Lunbeck (Chicago: University of Chicago Press, 2011), 45–80. 科学史の領域で強い関心を寄せられてきた実験ではなく観察に着

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    tsuka_ryo 2012/03/28
  • なぜヨーロッパでだけ科学革命が起こったのか  Gaukroger, The Emergence of a Scientific Culture - オシテオサレテ

    The Emergence of a Scientific Culture: Science and the Shaping of Modernity 1210-1685 作者: Stephen Gaukroger出版社/メーカー: Oxford University Press, U.S.A.発売日: 2009/01/15メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログを見る Stephen Gaukroger, The Emergence of a Scientific Culture: Science and Shaping of Modernity, 1210-1685 (Oxford: Clarendon Press, 2006), 11–43. 先日科学革命が初期近代に起こったという想定がもはや通用しなくなってきていると論じた論考を紹介しました。そ

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    tsuka_ryo 2012/03/02
    (1)."つまるところ科学と宗教が切り離されると近代、というような単純なモデルは立てられません。"(2)."このようなパトロンの存在は他文化圏でも認められるものです。"
  • 科学革命再考 - オシテオサレテ

    Rethinking Scientific Revolution 作者: Margaret J. Osler出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2008/08/21メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見る Margaret J. Osler, "The Canonical Imperative: Rethinking the Scientific Revolution," in Rethinking the Scientific Revolution, ed. Osler (Cambridge: Cambridge University Press, 2000), 3–22. 2000年に出版された『科学革命を再考する』という論集の巻頭に寄せられた論考です。科学革命という科学史研究全体を方向

    科学革命再考 - オシテオサレテ
    tsuka_ryo
    tsuka_ryo 2012/02/27
    ”科学革命を完成したとされるニュートンの活動が根本的に神学的探求であったとされることは、伝統的な歴史記述全体の変化を要求するものです”
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