(株)肥薩おれんじ鉄道は、熊本県と鹿児島県を跨って走行する第三セクター方式の鉄道会社で、沿線自治体およびJR貨物が出資している。九州新幹線開業にともなう、並行在来線区間の八代~川内(せんだい)間を経営分離により開業したこともあり、厳しい経営が予想されるが、貨物列車の通行料収入に依存することなく、新たな活路を見出そうとする同鉄道の現状を紹介し、将来を展望していきたい。 肥薩おれんじ鉄道の概要と収支予測 新会社の事業基本計画で、前提とした00年の調査数値では、移行される区間のローカル列車の利用者数は1日6,799人、輸送密度1,247人/kmだった。沿線の過疎化や少子高齢化もあり、数値は漸減していたことから、開業時の輸送密度は1,230人/kmと想定。この数字を同時期の第三セクター鉄道と比較すると、土佐くろしお鉄道が1,291人、北近畿タンゴ鉄道が1,168人と同レベルであり、三陸鉄道の511