震災アーカイブスとソーシャル文学 〜電子書籍時代の物語叙述の担い手と組織化〜 丸山高弘(NPO法人地域資料デジタル化研究会/山中湖情報創造館) 電子書籍元年が不発といわれるのは、何もガジェットだけが原因ではない。むしろ電子書籍リーダーに罪があるのではなく、むしろその創作物である物語(著作)側に問題があったと考えられるのではないか。ケータイ電話のあの画面性の中で独自の文学スタイルをつくることで、「ケータイ小説」というひとつのジャンルを誕生させたことと比較すれば、ケータイ画面以上の表現力を持ち得ながら、表現スタイルを生み出す事ができなかった電子書籍(コンテンツ)側に、やはり問題があったのではないだろうか? 著者は、昨今の特徴的な物語スタイルを、電子書籍時代に向けてさらに推進させ、それがひとつのスタイルを生み出すことを期待している。しかもそれは、東日本大震災後に一種のブームにもなってきたデジタル