もちろん、一般的には、あるいは世界共通に、新自由主義と社会民主主義は対立関係にあります。 それでは、なぜ、具体的な労働政策論において、 >八代先生は新自由主義、濱口先生は欧州型社会民主主義の立場と基本的な思想の違いはあるが、労働経済分野での意見についてはかなりの部分合致するのではないかと思っている。 ということになるのか、まあ、わたくしが欧州型社会民主主義の代表みたいな顔をすると、怒り心頭に発する人もいるかも知れませんが、それはとりあえずおいておいて、対立する思想が政策論でなぜ接近するのかを説明せよ、と詰め寄る人が出てくるかも知れません。 実は、本書自体がそれをよく説明しています。まえがきの文章から引用すると、 >問題なのは市場競争の行き過ぎではなく、それと対になるべき、政府による生活の安全網(セーフティネット)の構築が不十分だったことである。企業が従業員とその家族の生活を守り、その企業を