トランプ、ヴァンス台頭の根源にあるものとは?『平等について、いま話したいこと』(トマ・ピケティ&マイケル・サンデル)より第5章「能力主義」を全文公開 アメリカ副大統領のJ・D・ヴァンスは白人労働者階層の出身で、「ラストベルト」と呼ばれる中西部の貧困地域で育ちました(その詳細はヴァンスの著書『ヒルビリー・エレジー』に克明に描かれています)。そのような境遇から、彼が現在の地位に上り詰めることができたのはなぜか。その要因は、ふたつの意味で「能力主義 メリトクラシー」にあるといえるのではないでしょうか。第一に、能力主義社会であることで、階層移動が可能になっているということ。もしもアメリカが身分制社会であれば、「ヒルビリー(田舎者)」の男が副大統領になることは決してありませんでした。第二に、マイケル・サンデル教授が指摘するように、能力主義エリートの傲慢が大衆に屈辱と怒りを生み、トランプ支持につながっ
