来年から運用が始まるマイナンバー制度をめぐり、準備に関わっていた厚生労働省職員の汚職事件が発覚した。筆者はある病院長の紹介により今回逮捕された容疑者と今年4月に会食する機会があった。初対面での印象は強烈で、とても違和感を覚えた。 事件を受けて、省内で幹部らに話を聞く限り、容疑者に対して以前から同じように違和感を覚えていた人は少なくなかった。そうでありながら、なぜ暴走を許してしまったのか。容疑が事実とすれば、罪を犯した本人が何より責められるべきなのは間違いないが、制御しきれなかった組織の責任も重い。 「とにかく頭がいいし、先日の講演では、個人情報保護などの難しい話を3時間ノンストップで続けて、全く聴衆を飽きさせない、相当な話術の持ち主です。カミソリのような切れ味ですが、親しみやすいところも多く、会ってみたら楽しいですよ」。 以前の取材先である病院の院長から、講演会を通じて知り合った厚労官僚を