プログラミング言語や型理論の文脈で、空リストの型つけ〈タイピング〉が話題になることがあります。集合論と圏論で解釈してみると、結果が違ってきます。発想が違うので結果がズレるのは驚くことではありませんが、意外に思う人もいるかも知れません。 内容: はじめに 圏のホムセットは交わらない 写像集合とは リストの定義 空リストの型 はじめに ここで言う集合論は、ガチの公理的集合論ではなくて、公理的集合論寄りの素朴集合論です。よく知られた集合論的概念は普通に使っていいとします。集合圏 は、普通の集合論に基づいて考えます。集合圏の対象の集まり は「すべての集合の集まり〈類〉」です。集合圏のホムセット は、「集合 から集合 への写像の集合」です。 集合圏のホムセット とは別に、集合論的に構成された「集合 から集合 への写像の集合」は と書くことにします。下線を付けているのは、僕は を の別表記として使って