ドイツ人は、なぜこれほど森を愛するのか~ベートーヴェンもワーグナーも、ナチスでさえも、精神の源泉を森に求めた ドイツ人にとっての森とは 風光明媚で知られている「黒い森(Schwarzwald)」(Schwarz=黒、Wald=森)は、ドイツの南西部に広がる森林地帯だ。長さ150km、幅30kmから50kmの広大な帯状の地域で、標高800mから1400mほどの中山が連なる。冬は雪が多く、とても寒い。 黒い森の西の境はライン川。そこからもう少し行くとフランスのアルザス地方となる。森の南西にあるティティ湖は、私の住むシュトゥットガルトから車で2時間ほど。黒い森でただ一つの天然湖だ。そのほとりに、先週の週末より来ている。木の他には別段何もない。 なぜここが「黒い森」と呼ばれているかというと、生えているのが主にドイツトウヒという常緑針葉樹で、一年中、黒く見えるかららしい。 ヨーロッパ原産の、ときに5