数学セミナーの2001年5月号を見ていると新学期ということもあり, 大学新入生向けの特集の冒頭は「線形代数」の記事であった. 後の方に長谷川浩司氏の連載記事「線型代数」 の第2回目を見つけて読んだ.途中で「形」と「型」の字の違いに気がついた. そして私は「線型」と「線形」をめぐる経験を思い出したので, ここに覚書として記しておくことにする (記憶が定かでない点も多々あるが,調べずにあいまいなまま記す). 私が大学生のときの科目名はおそらく「線型代数学」であったと思うが定かではない. 大学時代に買って(多少なりとも)勉強した教科書は, 斎藤正彦『線型代数入門』(東京大学出版会) と 佐武一郎『線型代数学』(裳華房) であった. 大学院生時代に職業訓練大学校(現在の職業能力開発総合大学校)で非常勤講師をしていたときに, 渡されたテキストのタイトルは「線形代数」であったので, 学生向けにはそのよ