費用対効果、コスト・パフォーマンス、投資収益率──。 どれだけの「コスト、投資」(分母)をかけて、どれだけの「リターン、効果」(分子)を得るのか。ビジネスの世界では、この分母・分子の両面を見て、モノを決めていくことが当然だし、それをきちんと把握し、経営に活用していけるかどうかが、企業競争の成否を握る。 ところが、ビジネスの世界を少し離れると、分子・分母のどちらかだけにフォーカスした議論がなされ、政策的な意思決定がなされていく、ということが、意外に数多く見受けられる。 あるいは、両方を見ようとしても、きちんとしたデータに基づく議論にならず、立場の違いから水掛け論になってしまう、という例も多い。その代表例の1つが、医療サービスにかかわる規制の流れだろう。 「分子重視」と「分母重視」がせめぎ合ってきた医療の世界 医療の世界では、長らく、新しい薬、あるいは医療器具といった「イノベーション」をどう広