大内 伸哉 (神戸大学大学院法学研究科教授) 川口 大司 (一橋大学大学院経済学研究科准教授)/著 『法と経済で読みとく 雇用の世界』 2012年3月発行 →書籍情報はこちら 著者の川口大司先生が,本書の刊行にあたって『書斎の窓』(2012年6月号)にお寄せくださいましたエッセイを,以下に転載いたします。 ◇雇用の世界を「読みとく」ことの楽しみ◇ 労働法学と労働経済学は水と油 同じ労働問題を研究しているのに、労働法学と労働経済学の関係は水と油の関係にたとえられることがある。二つの分野が十分に交わっていないことのたとえであるが、交わらない理由としては同じ問題を考えているのに意見が異なっていて話がかみ合っていないというケースと、そもそも考えている問題が異なっているケースがある。 今回、労働法学者の大内伸哉氏と経済学者の私が『法と経済で読みとく 雇用の世界――働くことの不安と楽しみ』を執筆して感