小説推理新人賞受賞作を連作化した短編集。淡々とした独白型の文章とそれぞれの章におけるイヤ〜な落ちのギャップがたまらない驚きのデビュー作。善悪を超越して読書の面白さに耽溺させてくれるという意味において、本年度の新刊の中でも有数のエンターテイメント作品だと言えるのではないか。 帯に連なる書店員の賞賛の文字に躊躇はしたのだが、個人的にこのような告白を記録するような一人称の文章が好きなので買ってみたら大正解!大変に面白かった。 本書のエッセンスはやはり第一章「聖職者」に集約されている。自分の娘が生徒に殺されたと淡々と話すという担任教師の常軌を逸した告白の異常さ加減、そしてよくこんないやらしい仕打ちを思いつくものだ、と感心してしまうほどのオチ。僕はこの二つの落差が作り出す読後感に、思わず震えてしまった。この切れ味は相当なものである。 続く章においても作品全体において目立たず張られた伏線を利用しつつ、
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