「大自然の前で近代文明とはなんともろく頼りないものなのか」。一九九五年一月十七日の阪神大震災についてその人は書いている。物質的な繁栄を疑っていた。十六日、九十一歳で亡くなった小野田寛郎さんである▼敗戦から三十年近い七四年までフィリピン・ルバング島のジャングルで「戦争」を続けた。日本の敗戦を信じなかった。「米軍のカイライ政権が続いている」「日本は新しい政府を満州に樹立した」と思っていたという▼「どんな生き恥をさらしても生き延びよ。生きて任務を遂行せよ」。陸軍中野学校の教えも元少尉の長期間潜伏につながったのだろう▼五十一歳で帰還した時、作家の阿川弘之さんはその旧陸軍式の敬礼を見て「大勢の人が不思議な感動を覚えたはずだ。それは、日本人がとつくの昔に忘れてしまつたものを見せられたからだ」と書いた▼逆に小野田さんの方は経済大国となった戦後日本に「精神的断絶」を覚えた。「何でもカネ、カネの戦後日本人」
文部科学省は、歴史や公民などで政府の統一的な見解がある場合はそれを取り上げることなどを盛り込んで、教科書の検定基準を改正し、17日告示しました。 教科書の検定基準を巡っては、自民党の特別部会が、今の教科書は歴史や領土に関する記述に問題が多いなどとして見直しを提言し、先月、文部科学省の教科書検定審議会が見直しを了承しました。 新たな検定基準は17日告示され、歴史や公民などで、政府の統一的な見解や確定した判例がある場合はそれを取り上げることや、学術的な通説が定まっていない事柄についてはバランスのとれた記述にすることなどが盛り込まれています。 検定基準の見直しについては、文部科学省に6000件を超える意見が寄せられ、「自分の国を理解するうえで、政府見解を教えるべきだ」といった支持する声と、「歴史観の押しつけになり教育への政治介入ではないか」という懸念の声が同じくらいあったということです。 これに
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