篠原彰・大阪大蛋白(たんぱく)質研究所教授(分子生物学)の話 「著者は論文撤回の理由をしっかり説明する責任がある。ネイチャー誌には論文が受理された査読過程を検証、公開するよう強く希望する。そのことが査読過程の透明化を含め科学の公正性を維持するために大切であり、トップジャーナル(最も権威ある学術誌)としての責任だ。論文の撤回前に、理研が疑義に十分答えないまま検証実験を開始したことは、不正があっても後から再実験すればよいという間違った科学の物差しを与えており、研究機関として慎むべきだ」
STAP細胞論文の問題で、論文の撤回を2日に発表した英科学誌ネイチャーは、論文の審査体制を見直す方針を明らかにした。世界で最も権威のあると言われる同誌でも、不正を完全に排除するのは困難で、対応に苦慮している。 STAP論文で見つかった画像の改ざんや捏造(ねつぞう)についてネイチャーは、掲載前に同じ分野の研究者がチェックする「査読」で見抜くことはできなかったと結論づけた。一方、画像の操作の発見は「比較的簡単」とし、こうした画像のチェックの頻度を増やすことを検討しているという。「編集方針の改訂が済み次第、公表したい」としている。 科学誌の論文撤回は珍しいことではない。研究不正に詳しい愛知淑徳大学の山崎茂明教授が、米国立医学図書館が運営する生命科学系の論文データベースで1980~2008年に撤回された論文1154本を調べたところ、ネイチャーは38本だった。米科学誌サイエンスの61本、米科学アカデ
2014年7月2日付けで、英国の科学雑誌『Nature』がSTAP細胞に関する研究論文2報を取り下げたと発表しました。これを受けて、理化学研究所は1月29日付け当該研究にかかる報道発表を取り下げました。 なお、論文2報が取り下げられたことに伴いNature protocol exchange(英語)も取り下げられましたので、3月5日付けで発表した実験手技解説に関するトピックスも取り下げました。 Nature側の取り下げ理由 Retraction: Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency(英語) Retraction: Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency(英
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新型万能細胞とされたSTAP(スタップ)細胞の論文不正問題などで理化学研究所への信頼が損なわれたとして、iPS細胞(人工多能性幹細胞)による世界初の臨床研究を進める理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーは2日、短文投稿サイト「ツイッター」上で、「まだ始まっていない患者さんの治療は中止も含め検討する」と投稿した。 高橋氏は、iPS細胞から作った網膜組織の一部を、目の難病「加齢黄斑変性症」の患者に移植する臨床研究のプロジェクトに取り組んでいる。英科学誌「ネイチャー」は、「今年注目の5人」の筆頭に高橋氏を挙げている。 ツイッターで高橋氏は、一連の問題で理研の信頼が揺らぐ中、外部から臨床研究を中止してはどうかという意見を複数聞くようになったことや、患者も臨床研究の現場も落ち着ける環境ではないことなどを理由とし、自身のプロジェクトについて「このような状況でする臨床
理化学研究所は今後のSTAP細胞に関する問題への対応を次のとおり行うこととしましたので、お知らせいたします。 1.「STAP現象の検証計画」への小保方晴子研究ユニットリーダーの参画について STAP現象の検証実験を行うことについては、様々な見解がありますが、科学的事実を明らかにするために、小保方研究ユニットリーダーを相澤慎一実験総括責任者及び丹羽仁史研究実施責任者の指揮監督のもと、実験に参画させることとします。期間は、平成26年7月1日から平成26年11月30日までを予定しています。 なお、小保方研究ユニットリーダーの準備が整い次第、同氏による検証実験を行うことになりますが、その際には、研究所が指名した者が立ち会う、映像を記録する等を含め、透明性を確保した方法で行います。 2.科学的な疑義に対する調査の開始について 研究論文の疑義に関する調査報告書(平成26年3月31日)以降に指摘があった
STAP細胞が本当に存在するのかを確かめる再現実験について、理化学研究所は、論文の著者であり、STAP細胞の存在を主張している小保方晴子研究ユニットリーダーを、1日以降、参加させることを決めました。 STAP細胞の再現実験を巡っては、理化学研究所の外部の有識者で作る改革委員会が、熟練した研究者の監視のもとで小保方リーダーに行わせるよう求めていました。
山梨大学教授の若山照彦(47)が、理化学研究所の研究ユニットリーダーである小保方晴子(30)ら共著者に、STAP論文の撤回を呼びかけたのは3月10日のことだった。同日朝、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)の幹部3人からメールや電話で「論文を取り下げたほうがいい」とアドバイスされた。研究の根幹となる万能性を示す画像が、小保方の博士論文と同じだった。「これが決定的な不信になった」
5月末、理化学研究所研究ユニットリーダーの小保方晴子(30)が久しぶりに、発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)に姿をみせた。向かった先はC棟にある応接室。ここで待機し、STAP細胞の作り方をアドバイスする。ムーミンの絵柄で飾られた自分の研究室に立ち寄ることは許されなかったが、検証実験への参加は事実上、始まった。A棟の4階で実施されている検証実験は難航していた。STAP細胞どころか、
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