昨年の貿易収支が過去最大の赤字を記録した。原発の稼働停止に伴う燃料の輸入増が大きく響いているばかりか、アベノミクスによる円安効果を生かし切れず輸出も期待ほど伸びていない。極めて懸念すべき状況だ。 日本の輸出力の力強い回復には、企業がイノベーション(技術革新)を高め、付加価値の高い商品開発に積極的に取り組むことが必要だ。政府も状況認識を厳しくし、民間の努力を後押しする成長戦略の具体化を急いでもらいたい。 新興国市場の混乱などで、円相場も当面は乱高下が予想される。日本としては、目先の為替動向に一喜一憂することなく、世界に冠たる「ものづくり」の地力を発揮し、貿易立国としての足元をしっかりと固め直してほしい。 モノの輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆4745億円の赤字となった。3年連続の赤字で規模も毎年増えている。貿易赤字が定着すれば、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支も