そう語るのは、父親からの性暴力を受けた経験を持つ山本潤氏。彼女の著書『13歳、「私」をなくした私~性暴力と生きることのリアル~』(朝日新聞出版 )では、自身の経験について綴りながら、性暴力の実態を描き出した一冊だ。 性暴力を受けた時の心情を語る本は少なくはないが、ここまでありありと性暴力を受けた後の影響、家族との関係を記した本は少ないだろう。被害を受けてから29年の時を経てようやく語ることができた言葉の数々にはずしりとした重みがある。 山本氏は13歳の時、はじめて父親からの性暴力を受け、それは父親と母親が離婚し、離れて暮らすようになるまで7年間続いた。13歳の彼女には、父が始めたことが性的なことだということがわからなかった。おそるおそる母に「お父さんが布団に入ってくるから寝られない」と打ち明けたが、直接的に「身体を触られている」とは言えず、母もことば通りにしか受け止めなかった。それは後に「