糖尿病患者の血糖値を下げるために必要なインスリンが膵臓(すいぞう)だけでなく、脳や鼻の神経幹細胞からも分泌されることがラットを使った実験で分かったと茨城県つくば市の産業技術総合研究所(産総研)が発表した。産総研は「患者の神経幹細胞を自身の膵臓に移植することで、より安全な再生医療につながる可能性がある」と期待する。 産総研によると、糖尿病のラットの鼻などから神経幹細胞を取り出し解析した結果、インスリンを分泌する遺伝子があることを発見。これらの神経幹細胞をインスリン分泌を促進させる薬剤を使って二週間培養し、ラットの膵臓に移植したところ、七週間後に血糖値が半分以下になったという。 重度の糖尿病治療には膵臓にある膵島(すいとう)の移植が有効だが、ドナー不足などの問題がある。神経幹細胞なら内視鏡を使って人の鼻から容易に採取することが可能という。桑原知子主任研究員は臨床に向けて「ブタなどの大型の動物で