その日、早起きをした僕はとてもお腹が減っていた。温かいものを飲んで落ち着こうと思い、やかんを火にかけたけど紅茶のありかがわからなかったので、前から気になっていたあのお店に行ってきた。 デブの聖地、喫茶Yだ。 著名人のサインや写真が並ぶ店内。客は2組。僕は客の様子を観察した。 ・1組目 男3名の客だ。全員標準体型ではあるが、独特のオーラが漂っている。既に食べ終えたらしき空の皿を前に、彼らは満足気な顔で談笑していた。 ・2組目 男1名。デブだ。かなりのデブだ。目があった瞬間、「よう、同志」とアイコンタクトを交わす。向こうも「よく来たな、まあゆっくりしていけよ」とアイコンタクトを返す。自分の店でもないのに主のような、そんな表情を浮かべていた。 一定のレベルを超えたデブに言葉は不要だ。 先客のデブから一つ席を空けてカウンターに座る。僕らの間には一つ空席があるが、まるで隣席のような距離感だ。 何を頼