深夜の富山駅。鼻先の伸びた流麗な先頭部が特徴的な「ボンネット型」の電車が到着した。待ちかまえた鉄道ファンが一斉にカメラのシャッターを切る。上野―金沢間の急行「能登」。13日のダイヤ改正で、同じ区間を走る寝台特急「北陸」とともに定期運用から姿を消す。現役最後のボンネット型車両だ。お別れの前に雄姿をカメラに収めようと、同駅には連日20〜30人のファンが詰めかける。 「能登」は1959年に誕生。68年にいったん廃止されたが、75年に復活し、93年からボンネット型車両で運行された。現在、使用している車両は71〜73年に国鉄が製造した。 「能登」は寄る年波には勝てず、安価な高速バスに押され、指定席の利用率も約1割と低迷していた。JRは「廃止はやむを得なかった」と説明する。鉄道ファンからのさよなら人気は過熱しており、最終日の指定席券が発売10秒後に完売したほどだ。 2月下旬。深夜の富山駅ホームにカメラ