阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2009年6月25日 [書評]「バカヤロー経済学」のススメ――ホームズとワトソンの漫才 世に新書のたぐいはいくらでもある。疲れたサラリーマンが、もうろうとした頭にむち打って、なにか知識をつめこもうとするとき、つい手にとって買ってしまうのが、こういう新書である。「バカの壁」から「サオダケ屋」など、いかにも手軽そうなタイトルについ釣られるが、トクしたと思う本はめったにない。 だが、ときどき心にひっかかる新書がある。タイトルからして「知識ゼロから始めるバカヤロー経済学」(普遊舎新書、800円+税)と人を食ったものだが、中身は本来合理的であるべき経済につきまとう「理不尽」を、ホームズとワトソンの問答形式であえてやさしく書いたものだ。 しかし、このホームズとワトソン、なかなかのタマとみえる。「小学生に戻ったつもり」で素朴な質問をぶつけるワトソン君は、196