昨年の10月に刊行された書籍Ajaxセキュリティは,発刊直後に購入したが,しばらく積ん読になっていた。最近になって読み始めたのだが,いささかあきれる結果となった。HPの現役エンジニア2名の著作,一人は元SPI Dynamics社(WebInspectの開発元,HPが買収)出身,GIJOE氏の監訳ということで期待していたのだが,残念である。 残念だと思う主要な理由は,脆弱性への対策が十分に示されていないことだ。Ajaxであってもインジェクション系脆弱性が発生する可能性があること,むしろ従来型のWebアプリケーションよりもその可能性が広がることは説明されているが,肝心の対策が不十分だ。 本書第四章の後半には,対策として入力検査(バリデーション)が示されている。 4.6 適切な入力検査 4.7 リッチなユーザ入力のバリデーション しかし,入力検証だけでは,任意の文字入力を許す場合の対策はできない