配慮と忖度 霞ヶ関の東京地方検察庁前の「検察庁」と書かれた石碑は、不格好なブルーシートでくるまれている。5月27日(土曜)の正午過ぎ、60代の男性が赤いペンキをぶち撒き、汚れてしまったからだ。 器物破損で現行犯逮捕した警視庁は、男性の身元はもちろん、動機や背景などについても明かしておらず、事件はほとんど知られていない。だが、「精神異常ではない」(捜査関係者)ということであり、検察庁の権威の象徴である石碑を汚した行為が、検察への怒りの表明であるのは間違いない。 既視感がある。 1992年9月、東京地検特捜部は東京佐川急便から5億円の裏ガネをもらっていた金丸信・自民党副総裁に対し、政治資金規正法違反で略式起訴、20万円の罰金刑で事件を終結させた。嵐のような検察批判が起き、「検察庁」の石碑には黄色のペンキ缶が投げつけられた。 検察幹部は、「法に照らせば問題はない」と言い訳したが、大物政治家への配