ギザのピラミッドやテーベの神殿は、かつてのアフリカにおける古代都市の繁栄を雄弁に物語る。一方で、繫栄していたにもかかわらず、歴史の表舞台から消えてしまった都市もあった。この記事では現在のエジプト、スーダン、マリにある4つの「失われた古代都市」を、ナショナル ジオグラフィック別冊『古代の都市 最新考古学で甦る社会』から紹介する。いずれも現代の考古学者が再発見するまで、長く歴史に埋もれていた。 栄華を極めた港トロニス=ヘラクレイオン(エジプト) 古代エジプトの都市トロニス=ヘラクレイオンは、近年発見された「失われた都市」の代表格だ。エジプト人からは「トロニス」、ギリシャ人からは「ヘラクレイオン」と呼ばれたこの港町は、交易と文化の一大拠点として栄え、その後1000年以上にわたり姿を消していた。 引き揚げる前のファラオ像を調べる考古学者フランク・ゴディオと、その水中探査チーム。(Photograp