重い心臓病患者の心臓から筋肉のもとになる幹細胞を取り出して大量に増やし、再び心臓に戻して機能を回復させる国内初の治療に、京都府立医科大学の松原弘明教授らのチームが成功した。 患者の心機能は日常生活に支障がない程度まで回復し、1日退院した。国内の重い心臓病患者は100万人以上とされ、松原教授は「心臓移植や人工心臓に代わる重症患者の治療として期待できる」と話している。 患者は、今年2月に急性心筋梗塞(こうそく)を起こした神戸市長田区の山口茂樹さん(60)。 松原教授らのチームは4月、山口さんの脚の付け根から血管を通して心臓まで細い管を入れ、組織片約15ミリ・グラムを採取。その中に含まれる幹細胞を1か月余り培養して約4万倍に増殖させた。 6月1日、心臓の筋肉に血液を送る動脈の「バイパス手術」を行うと同時に、血流不足で壊死(えし)が進む左心室の壁に幹細胞を注射し、その上に心筋の成長や増殖を促すたん