■ いつか、この日が来るかも知れないという覚悟。 いつまでも、この日が来て欲しくないという願い。 そんな相反する二つの考えが、頭に浮かぶことが増えたのは、二川孝広の出場機会が減った2014年シーズンの終わり頃からだ。確かな技術に裏付けされた極上のパスセンスと戦術眼、ファンタジスタにかけて『ファンタジフタ』と愛されたプレーの数々をピッチで楽しめる機会が徐々に減り始めていく中で、それでも変わらず淡々とサッカーに向き合い、試合に向けた準備を続ける『10』の姿を見続けてきたからこそ、その二つの考えは頻繁にぶつかるようになった。 それはおそらく二川自身も同じではなかったか、と推測する。もっとも、彼にとってアカデミー時代を含めれば20年ものときを過ごしたガンバ大阪だからこそ、言葉にできないほどのクラブ愛を備えていたことも、慣れ親しんだ青いユニフォームに誇りを持って戦い続けてきたことも事実だ。だが、一方