#1 『人はなぜ恋に落ちるのか?――恋と愛情と性欲の脳科学』ヘレン・フィッシャー(ソニー・マガジンズ) 「恋愛の進化、表現、そして化学作用」を専門とする人類学者による科学読み物。大学の掲示板に「最近熱烈な恋をした人募集」だの「最近恋に破れた人募集」だのと書いて実験台になってくれる人を集め、機械にかけてデータを取ったとか。 一部の動物も、まるで恋愛をしているとしか思えないようなパートナーに対する好みを持っているが、一緒にいるのは繁殖期〜子育て期のみの場合も多い。生涯の一夫一婦制を基本とし、さらに文化的にも複雑なものを生み出した人間の恋愛にはどのような進化的必然性があるのかという仮説が面白かった。 それは、人間が四足歩行をやめて立ち上がるようになったとき、母親は片手で赤ん坊を抱えなければならなくなったことにより子育ての負担が増えた。また、人類の脳の発達に伴ってより未熟な姿で赤ん坊が生まれるよう