情報データを様々な攻撃から守る安全なシステムを構築するためには,セキュリティ技術の理解が欠かせない。ここではセキュリティ確保の中核技術とも言える,「共通鍵/公開鍵暗号」,「デジタル署名」,「バイオメトリクス」といった暗号・認証技術を取り上げ,基本的な仕組みや利用動向を解説する。 今や日本の企業のほぼすべてがインターネットを利用しており,一般家庭を見ても利用人口は約5割に達するという。ITは水道や電気と並ぶ,欠かすことのできない社会インフラとなった。 しかし,コンピュータの数が増え,ユーザーが様々なサービスを享受できるようになった一方で,深刻な問題が発生してきた。それは,一つひとつのコンピュータに監視の目が行き届かなくなり,悪意のある人間による不正操作が行われやすい環境になってきたということだ。実際に,コンピュータ上のデータが盗まれたり,改ざんされるといった事件が多発するようになり,連日のよ