放火事件から1年が経った現場ビルの前には多くの花が手向けられ、人々が手を合わせた=17日午前9時52分、大阪市北区(沢野貴信撮影) 電気もガスも止まった大阪市西淀川区の3階建ての住宅。ブルーシートで出入り口を塞がれ、ひび割れた窓や半開きの雨戸は1年前のままだ。「もう1年たったんだなという感じ。誰が住んでいるかも全く知らなかったから」。近所の60代女性は言葉少なに、主を失った家に目をやった。 大阪・北新地のクリニック放火殺人事件を起こした谷本盛雄容疑者=死亡当時(61)=が、かつて家族と過ごしたこの家に戻ったのは昨年6月だった。家族も職も失い、手元の現金も残りわずか。困窮極まる中で手に入れたスマートフォンに友人や知人の連絡先は登録されておらず、人間関係は皆無だった。 「死ぬときくらい注目されたい」「拡大自殺」。誰ともつながることのないスマホでそんな言葉を検索する日々。鬱屈とした思いが、社会と