吉海 直人(日本語日本文学科 教授) ことわざは人生訓として今も生き続けています。その背景には、先人たちの数多くの失敗が蓄積されているのではないでしょうか。「転ばぬ先の杖」ではありませんが、昔のことわざは現在に活かしてこそ価値があると思います。 そんなことわざの一つとして、「桃栗三年柿八年」があげられます。意味は、植えてから実がなるまで(収穫まで)に何年かかるかを並べたものです。もちろん比喩的に、物事は一朝一夕にできるものではない、それ相応に時間がかかるものだという教えが含まれているようです。 このことわざは「桃・栗・柿」という馴染みのある3つの果物で短くまとめられています。そこで質問です。これに続くフレーズがあることをご存じでしょうか。もちろん順番ですから、年数はもっと長くなります。そこに地域差というか、場所によって取り上げられる果物に違いが出ているようです。 よく口にされるのは「柚子の