ゲームや漫画なんでも良いのだけど、古い作品のほうが面白かったという人に対して、それは思い出補正だよという批判がなされることがある。 思い出は美化されるという傾向があるのは確かだから、まあ妥当な意見なのだろう。 ただこれ実際に滅んでしまったあるジャンルを観察すると、ちょっと考え方が変ってしまう。 私が調べている講談速記本では、全盛期の作品と衰退期の作品を比べると、明かに衰退期は衰退している。 はっきり言って大正時代の講談速記本に、見るべき作品というのは、ほとんどない。明治後半の全盛期に作り出された要素を繋げて作っているだけだし、酷いものになると表紙と題名のみ変えて中身は全く同じというものまである。なにしろ『忍術破り』と題名に入っているのに、忍術を破ってないのはもちろんのこと、忍術すら一切出てこない作品まで存在するのだから、講談速記本を読んだことがない方にも、その酷さは想像することができるだろ