「教育された無能力」という言葉があると知った。「考えても仕方がないし考えなくてもよくなった」状態を指し、「訓練された無気力」とも呼ぶ。社会学や教育学、行動心理学において長年注目されてきた現象だという。 日本の組織における情報化、システム開発と運用、IT利用、デジタル化、言い方は何でもよいが、とにかくこの領域において「教育された無能力」ないし「訓練された無気力」、つまり情報関連のことを「考えても仕方がないし考えなくてもよくなった」現象がある。 上記はこのほど出版された『情報資源管理とシステム構築統制の探究~管理思想からの理論的検討』(中西昌武著、共立出版)における指摘である。中西氏は情報資源管理のコンサルタントを経て、名古屋経済大学に移り、経営学部の教授を2020年3月末まで務めた。もともとは人間学や教育学を学んだが、工学博士でシステム監査技術者でもある。 オープンシステムとERPがもたらし
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