ブックマーク / shavetail2.hateblo.jp (215)

  • 石弘光氏死去という機会に思う - シェイブテイル日記2

    石弘光氏が亡くなりました。 財政再建に命を捧げた人生だったでしょう。 政府税制調査会長時代、増税を主張した時には「庶民の敵」と罵られ、ワイドショーに取り上げられ、自宅にはイヌの糞をばら撒かれたとか。 まったく頭が下がります。石弘光氏を批判した人々、ワイドショーを企画した人。一生懸命イヌの糞を集めて石氏の自宅にばらまいた当時の人たちには。 時代は移り、現代では石氏は日のために命を捧げたようなマスコミの書きぶりです。 増税を主張すると罵られるという当たり前の時代から増税を主張するのが当たり前という現代。わずか2-30年の間、この間一体何があったというのでしょう。 政府粗債務と家計純資産の比較!? 皆さん次の図1にイチコロで殺られてしまったようです。 図1 政府粗債務と家計純資産の比較 日銀資金循環統計から筆者作成 このグラフで意味があるのは政府粗債務から政府粗資産を引いた政府純債務と家計純資

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  • 日銀決定が告げた「出口なき撤退戦」の始まり - シェイブテイル日記2

    前回の記事同様、私が自分で思いついたことからなる、発信情報としてはもう余り書くべきことがありませんので、いろいろな側面では同様の思いを持っている方(プロなど)の記事を全文のせて記事に代えたいと思います。 日は日銀政策の迷走ぶりに関する田渕直也氏の、四季報オンラインへの投稿記事です。 田渕直也氏は債権運用のプロですから、積極財政派の私とは考え方が全く異なりますが、日銀の出口戦略については同じ懸念を持たれているようです。 =以下四季報オンラインからの引用記事= 日銀決定が告げた「出口なき撤退戦」の始まり 金融政策の修正はいつできるのか 田渕 直也 2018/08/03 18:00 7月30〜31日の金融政策決定会合で、日銀は金融政策の方針を示す“フォワードガイダンス”を新たに導入して「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」方針を明示する一方で、長期金利の変動をある程度(±0.

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  • 日本は世界一GDPシェアが減少しているがそれは人口減少とは無関係 - シェイブテイル日記2

    蓮舫氏が辞めた後の民進党代表選挙に枝野氏と前原氏が立候補していますが、その枝野氏の打ち出す経済政策の背景には「人口減少など社会成熟化による需要そのものの減少」があるそうです。 *1 確かに日は2008年をピークに人口減少に転じました。 ただ、世界を見渡せば、ロシアやポーランドなど他にも人口減少国はあります。 そこで日やこれらの人口減少国を含めて世界経済での各国シェアの変動を調べてみました。 図1は1996年時点での名目GDP(ドルベース)の各国シェアとそれから20年後の2016年の名目GDP各国シェアの比をとったものです。 図1 名目GDP世界シェア増減率 元データ出所:IMF WEO April 2017 世界シェアの変動費率は、例えば日の1996年の名目GDP世界シェアが15.2%で、2016年のそれは6.6%なので、 6.6÷15.2=43.4(%)を日の世界シェア増減率とし

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  • アベノミクスの本質とは何か - シェイブテイル日記2

    無茶苦茶ご無沙汰しています。 個人的に色々と忙しいことと、アベノミクスへの期待が失望に変わっていったことからブログの更新を怠っておりました。 さて、久々にブログを更新しようと思ったのは、アベノミクスの現状を端的に示す2枚のグラフをお見せしたかったからです。 言うまでもなく、アベノミクスとは(1)大胆な金融政策 (金融緩和)、(2)機動的な財政政策 (財政出動)、(3)民間投資を喚起する成長戦略 の3の矢であったはずです。 大胆な金融政策については、GDP比でみたとき、世界金融史上にも例をみないほどのマネタリーベース拡大などがいまも続いています。 また成長戦略についても、有効性はともかくとして、経済特区や働き方改革などなど各種の施策が矢継ぎ早に打ち出されています。 しかし、財政政策についてはどうでしょうか。 図1のグラフは、財務省ウェブサイトに掲げられた一般会計の歳出状況のグラフを分かりや

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  • すべては銀行の信用創造行動から始まる - シェイブテイル日記2

    皆さんは、おカネはどこで生まれるかを考えたことはおありでしょうか? 通貨の供給ルートとして、しばしば「信用創造」として、銀行に預けられたおカネが引き出しに備えた準備預金を除き、再び別の銀行に貸し出されるモデルが紹介されることがありますね。 しかし、あの教科書に載っているモデルは間違いなんです。 おカネはどのようにしてうまれるか。 これについて、日は、Twitterでのやりとりの延長で、横山昭雄氏の「真説 経済・金融の仕組み」を一部抜粋してご紹介します。 横山昭雄 「真説 経済・金融の仕組み」 p80-p84より 第3節 真の通貨供給メカニズム−モデルI ■すべては銀行の信用創造行動から始まる いま歴史のコマを早回しして、現金・キャッシュが全く不必要なまでに信用化の進んだ金融・経済機構を想定してみよう。そこでは一切の取引・決済が預金通貨の振替、手形・小切手の授受を通してなされるため、銀行券

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  • 予想外の大統領 - シェイブテイル日記

    ま。これはともかく。 まさかトランプが大統領になるとは思いませんでした。 事前の予想でも、クリントン優勢が伝えられていました。 これによれば、クリントンが堅い地盤を前提にすれば、フロリダ、ノースカロライナ、ネバダ、ニューハンプシャーの全てでトランプが勝って初めて大逆転、ということでしたが(図1)、現実の選挙では、ライブでクリントンが優勢になった瞬間は一度もなく、トランプ大統領が決まりました。 図1 2016年大統領選 事前予想 [出所] FiveThirtyEight 日時間2016年11月09日昼時点。 選挙後にアメリカの選挙区を郡単位で眺めると、中西部どころか実は全米がトランプの赤に染まっていたことがわかります。(図2) 事後講釈的には全米に「隠れトランプ」が多数いたためとされています。*1 図2 大統領選 選挙結果 (郡レベル) [出所]election 2016 live res

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    yamajii
    yamajii 2016/11/10
  • 日銀首脳と巷間リフレ派はドングリの(以下自粛) - シェイブテイル日記

    一月ほど前ですが、週刊文春で日銀・岩田規久男副総裁の音(?)を日銀関係者が語ったという記事が載っていました。 THIS WEEK週刊文春 量から金利へ回帰 リフレ派終焉で岩田副総裁の変節 2016.10.01 07:02 辞任も覚悟と公言していた岩田氏だが… 日銀行は9月21日の金融政策決定会合で、2013年4月から続く異次元緩和の戦略を修正した。市場に流すお金の量を年80兆円ずつ増やす目標をなくし、長期金利を「0%程度」とする目標に置き換えたのだ。 「そもそも日銀の異次元緩和は、デフレからの脱却をめざし、お金の『量』さえ増やせば物価が上がると唱えた『リフレ派』の考えを採り入れてスタートしたもの。今度の修正策はそうしたリフレ派の主張を否定して追いやり、伝統的な金利政策に回帰する色彩が強い」(経済部記者) この文春経済部記者の見方は鋭いですね。 「これからは、イールドカーブコントロール(

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  • 今更ですが、消費税増税は何のため? - シェイブテイル日記2

    今更ながらの話にはなるのですが、消費税が増税されたのは一体何のためだったでしょう。 政府や財務省、マスコミ、そして国民の大多数も「消費税増税分の使途は社会保障財源に決まってます。」というのでしょうね。 確かに自民・公明・民主の三党合意、正しくは税と社会保障の一体改革に関する三党合意では社会保障の安定財源と明記されています。 問題はお金には色がついていないことです。 当に消費税増税分が社会保障費に充てられているのかは、自分の頭で一度整理してみる必要があります。 私たち個人の立場で考えてみると、消費税は8%に増税されて確実にサイフから多く出ていくことになりました。 ところが安倍内閣では、社会保障の「自然増」を1.3兆円削減、公的年金もこの間3.4%削減されました。 不思議な話ですよね。社会保障費に回されるはずの税が増えたのに、国民に戻ってくる社会保障費は確実に減額されているのですから。 では

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  • 「国民1人当たり830万円詐欺」には気をつけよう - シェイブテイル日記2

    報道によれば、財務省から6月末時点での「国の借金」について昨日新たな発表があったようです。 財務省は10日、国債と借入金などの残高を合計した「国の借金」が6月末時点で1053兆4676億円になったと発表した。 3月末時点から4兆1015億円の増加で、不足する税収分を賄う国債の発行額が増えた。7月1日時点の人口推計(1億2699万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約830万円になる。 国の借金1053兆円=1人当たり830万円―6月末 時事通信 8月10日(水)17時58分配信 ほぼ同様の報道は同日、日経新聞、朝日新聞、産経新聞からも報じられています。 改めていうまでもないことですが、日の国自身は対外資産が340兆円と世界一であることはこれらの報道機関自身が報じていますので、「国の借金」1053兆円という報道は誤りであり、正しくは「政府の家計などに対する負債が1053兆円」で

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  • 英国の経済格差は日本よりどれだけ酷いか調べてみた - シェイブテイル日記2

    先週末のイギリスのEU離脱決定は今も世界経済に影を落としたままです。 イギリスでは、エリート社会と低所得者社会がもともと分断されているところに、この投票結果はさらに分断を強める結果になるだろうと報じられています。 そうすると、近年移民流入が続く英国の格差社会はかつての格差を超えて、さぞ酷いことになっているのだろうと思い、ピケティの所得データベースを使って実際のところを調べてみました。(図表1) 英国の所得下位者の所得は伸びているし、格差拡大もしていない 日の所得下位者の所得は著しく減り、格差は英国以上に拡大 図表1 英国・日の所得上位10%と下位90%の所得推移 出所:The World Top Incomes Database Thomas Piketty他 それぞれの所得水準は、2010年通貨で実質化されている。 英国の所得格差は5.5倍程度で変化がないが、日の所得格差は 4.4

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  • 途上国に始まり、EUに終わる? - シェイブテイル日記2

    今日も英国EU離脱報道がまだ続いています。 英国はもちろんですが、英国での離脱派勝利から、ドイツ以外のEU主要国内でもEU離脱派が勢いづいているようです。 各国内でも、ドイツに牛耳られて一挙手一投足に規制を入れてくるEUに対する不満が大きくなっているのでしょう。 ただ、EUは英国を準加盟国扱いにするという情報もあり、ノルウェー、あるいはカナダに準じて処遇するとすれば、英国に対して常識的な幅の中でオプションを提示して、離脱させるという流れになるとすれば、英国の離脱問題自身は不透明性が高い今が問題のピークなのかもしれません。 それに対して主要加盟国から離脱運動が盛んになっているEUのあり方こそ、今後の焦点となっていくのではないでしょうか。 ところで、2011年秋ごろ、リーマン・ショックで個人は多額の負債を抱えたまま放置されているのに、サブプライムローンを売った側の大手金融機関の多くが救済された

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  • 貨幣と財政からみた経済学派分類 - シェイブテイル日記2

    安倍首相は昨晩(5月28日)、現在はリーマン・ショック級の経済危機という認識から、10%への消費税増税を2019年10月まで2年半先送りする方針を麻生副総理らに伝えたとのことです。 会合後の報道ではその方針に異論も出たとのことで最終的な落とし所はまだわかりません。 ただ、コンセンサスが得られてきたことは、どうやら金融政策中心のアベノミクスでは限界があり、デフレ脱却・景気好転のためには財政出動も必要だろうということです。 このブログを読んでいただいている方々からみれば、なるべくしてなった結果ということかも知れません。 それにしても、デフレ脱却・景気好転を願う目的は同じでもこれほどのアプローチに対する選好がことなるのでしょう。 今日はこの点を改めて考えてみたいと思います。 下の図は、貨幣(細かく言えば民間を巡るマネーストック)の生まれ方に対する認識(横軸)と財政政策の役割に対する認識(縦軸)の

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  • G7で安倍首相がピエロにならないためには - シェイブテイル日記2

    今日から明日までの日程でG7 伊勢志摩サミットが開催されています。 安倍首相はその地ならしとして、G7諸国が一致して財政出動するように求め、各国を回りましたが、調整としては不調に終わったようです。 それも当然で、カナダのようにすでに積極財政に転じて成果が出始めている国もあれば、英国・ドイツのように緊縮財政政権の国々もあり、一致して積極財政、となるはずもありません。 安倍首相自身、第2次安倍内閣をスタートし、「3の矢」を発表した2013年こそ多少の財政出動をしたものの、2014年には消費税増税、昨年も緊縮と、金融政策頼みの経済運営が目立ちました。 その後、家計消費がマイナスなど経済減速がはっきりした昨年9月に、「新3の矢」を打ち出し、2020年に名目GDP600兆円を打ち出したところは目を引きましたが、後は小粒な目標だけで、肝心の達成手段は何も公表されませんでした。 では、2020年、つ

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  • 実業界はなぜマイナス金利政策に否定的なのか - シェイブテイル日記2

    4月のロイター企業調査によると、日銀が導入したマイナス金利の拡大に8割近い企業が反対しており、導入自体が失敗との見方も目立つとのことです。 前月調査では、導入後間もないことからまだ影響が見通せず、反対の声は6割程度だったが、今月調査では厳しい見方が増加。「導入は失敗だったと思われる」(運輸)、「マイナス金利で改善されたものがない」(化学)、「効果が疑問視されている」(鉄鋼)などといった声が聞かれ、幅広い業種で導入自体への評価が芳しくない。 悪影響について、具体的には「設備投資拡大など景気浮揚には結びつかず、逆に運用収益減の悪影響がある」(品)、「かえって貧富の差が拡大する」(紙・パルプ)、「金融機関の収益悪化が他の業界に思わぬ影響を及ぼす可能性」(運輸)などの弊害が挙げられている。また「預金金利がつかないことへの心理的悪影響は大きい」(サービス)、「将来に不安」(その他製造業)、「国民感

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  • 世界で2番目に財政健全性指標が改善した国とは? - シェイブテイル日記2

    現在の日は財政健全性指標(政府債務÷名目GDP✕100)が約250と、世界一悪い国として知られています。 もし財政健全性指標が改善されるならどれだけ経済運営が楽になるかわかりません。 次の図1は、2011−2015年の4年間で比較可能な36カ国で財政健全性指標がどれだけ改善/悪化したのかを調べたものです。 最も財政健全性指標が改善したのは、2011年に政府債務を踏み倒したアイスランドでした。日は20位。3位、4位は均衡財政を憲法に定めたドイツとスイス。では2位は一体どこなのでしょうか。 世界で2番目に財政健全性指標が改善した国とは? 図1 財政健全性指標の改善/悪化度 IMFデータより筆者作図。数値は11−15年の4年間の平均変動率(%)。 プラスが悪化をマイナスが改善を示す。()内は比較可能な36カ国での改善度ランキング。 答えは実は日なのです。 「え!? 日は20位って書いてあ

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  • 家計最終消費支出には消費税の影響は出ないのか - シェイブテイル日記2

    先日このブログで、「消費税を上げるたびに、家計の実質的な生活水準を示す消費水準指数が下方に屈曲してきた」という主旨のことを書きました。 これに対する反論のブログがありましたので、これについて書いてみたいと思います。 まず、シェイブテイルの意見がこちらです。 これまでの消費税0%、3%、5%、8%のトレンドと同じことが起きれば、消費税10%では実質的な生活水準は毎年3%ずつ下がっていくだろう、というのが結論でした。 一方、反論のブログはこちら。 曰く、 GDP統計の家計最終消費支出は増えている。1994年から2015年までは人口は最大で2.25%しか変わっていないので、家計最終消費支出を人口で割った数字で見ても、増加傾向は変わらない。しかし、消費水準指数は低下している。一人あたりの消費が増えているのに、世帯規模を調整した家計消費は減っている事になっている。二つの指標の傾向が合致しない。 つい

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  • 増税派黒田総裁にみていただきたい一枚の図 - シェイブテイル日記2

    日銀の黒田総裁は3月23日の参院の財政金融委員会で、消費増税による経済への悪影響について「成長率への影響は減衰し、何年もは出ない」と述べました。 これは正しい認識といえるのでしょうか? ここに黒田総裁にみていただきたい一枚の図があります。 それは消費水準指数です。(図1) この指数は、簡単にいえば、実質的な生活水準をみているといえるでしょう。*1 消費水準指数は消費税を上げるたびに下方に屈曲してきた 図1 消費水準指数の推移 出所:総務省統計局 消費水準指数(世帯人員分布調整済)※-二人以上の世帯(エクセル) 消費税は1989年に3%に、1997年に5%に、そして2014年に8%にそれぞれ引き上げられた。 図1をみると、消費税率が上がるたびに、消費水準指数の推移は下方に屈曲しています。 黒田総裁のいうような「成長率への影響は減衰し、何年もは出ない」状況ではありません。 そこでもう少し詳しく

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  • リーマン・ショックとは何だったのか - シェイブテイル日記2

    先週、ドイツ最大のドイツ銀行のCoCo債とよばれる銀行債の急落(利回り上昇)が報じられ、昨年後半からの米国利上げ、中国資源国経済減速とともに新たなリスクオフの流れにつながっています。 ただドイツ銀行以前にも、20世紀終盤あたりから現在にかけては、2001-2006年の欧米バブル期を除けば、数年ごとに金融危機が発生しています。 その中でもインパクトが強烈だったのが例のリーマン・ショックでした。 リーマン危機はあまりにも進展が速く、我々外部にいる人間には全体像が把握できないうちに世界経済を奈落の底に引きずり込んでしまいました。 現在もまた経済危機の初期局面にある可能性は小さくありませんので、今あらためてリーマン危機とは何だったのかを考えてみるのも悪くないでしょう。 1.危機発生以前 アジア通貨危機(97)、ロシア危機(98)は米国財務省のルービン長官、ラリー・サマーズ(当時、国際問題担当財務次

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  • ウォール街・財務省複合体と経済学第三の危機 - シェイブテイル日記2

    少し前になりますが、週刊エコノミスト9月15日号に京大名誉教授の伊東光晴氏が「現実から遊離する経済学」と題する記事を寄稿しています。 その主旨は、現代の経済学は第三の危機に瀕しているというものです。 この主張自身はリーマン・ショック以降、現実の経済に対して何ら有効な処方箋を出せない現在の主流派経済学に対する批判として何人もの人々から指摘されていることではありますが、伊東氏は現代経済学の瀕する危機のメカニズムまで踏み込んでいます。 かいつまんで引用します。 話題になったトマ・ピケティのことです。彼はアメリカ経済学の現状を批判して歴史経済統計の世界に入り、先進国の不平等批判への道に進みました。アメリカ経済学の主流は、人間行動についての仮説の上に数理モデル──人によってはゲーム理論を用いた数理モデルを作り、展開し、次々に新しい定理を生むというもので、その仮説が、現実に照らして真であるかを問い

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  • 信用創造の仕組みからみたQQEの帰結 - シェイブテイル日記2

    日銀は昨日30日に開催された金融政策決定会合で、2%の物価目標達成時期を先送りしました。 2013年4月、量的質的緩和(QQE)に着手した黒田総裁は「マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上」にし、2年以内つまり2015年3月末までの物価目標2%達成を宣言しました。 その後、昨年10月にも量的質的緩和の拡大として、マネタリーベース買い入れ増額などの俗に「黒田日銀バズーカ2」と呼ばれる追加緩和も実施しましたが、今回更に物価目標達成時期が送らされ、当初予定より二倍ないしそれ以上の時間がかかることを追認する形となっています。 これは一体どういうことなのでしょうか。 筆者は、不遜ながら、黒田日銀の信用創造に対する理解がおかしいのではないかと感じています。 1.通常いわれている信用創造の説明*1 右はある大学経済学部の先生のサイトか

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