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ブックマーク / econ101.jp (91)

  • ジョセフ・ヒース「アメリカのトップ大学は学生数を増やすべきだ」(2014年6月22日)

    近年、アメリカで経済的不平等への関心が大変高まっている。このことを考えると、高等教育、そして、アメリカで最もランクの高い大学が実はもはや階層流動性を高めるためのパイプとして機能していないという事実に、大きな注目が向くのは自然なことだ。例えばトマス・フランクは、授業料が過去30年間で1200%も上昇したことをしきりに嘆いている(この記事やこの記事)。しかしフランクは他のアメリカの論者たちの多くと同様、もっと明白な問題を見落としている。アメリカのトップ大学がたとえ授業料をゼロにしたとしても、社会的不平等は減らせそうにないのだ。なぜならこの対処策は、学生数が少なすぎるというアメリカのエリート大学の最も根的な問題に手をつけていないからである。 カナダ人は、国境の南側で子育て競争の過熱を嘆くアメリカ人の声を飽きるほど聞いている。子どもをイェール大学に入れたいなら、「充実した」保育が行える大卒のベビ

    ジョセフ・ヒース「アメリカのトップ大学は学生数を増やすべきだ」(2014年6月22日)
  • アダム・トゥーズ「トランプによる共和党の過激化と、アメリカの有権者の再編成」(2024年11月11日)

    結果は寒々しいものだ。民主党は、格差、社会問題、差別に焦点を当てており、2020年以降、格差が減少していることを示す統計が出ているにもかかわらず、相対的に不利な立場にあるアメリカ人を取り込むことに失敗したのだ。 先週のアメリカ大統領選でのドナルド・トランプの勝利は、衝撃的だったと広く語られている。しかし、現在世界中で行われている選挙を見てみると、そこまで驚くに値しない。どの国でも、現政権は、コロナ危機の余波――特にインフレ恐怖症を引き起こした物価ショックから打撃を受けている。世界中で有権者は、不安を抱き、フラストレーションを感じ、変化を求めたのだ。 最近の選挙で、真に大勝したのはメキシコのモレナ政権だけだ。今年になってイギリスとフランスでは現政権が〔投票シェアの変動で〕カマラ・ハリスの4倍のダメージを被っている。 〔各国の政権与党のイデオロギーと、選挙での政権維持の是非、投票シェアの変動〕

    アダム・トゥーズ「トランプによる共和党の過激化と、アメリカの有権者の再編成」(2024年11月11日)
  • ジョセフ・ヒース「反自由主義的リベラリズム」(2024年7月30日)

    YIPたちはこの緊張関係を処理するために、伝統的なリベラルの教義に潜む曖昧さや抜け穴を利用して、自らの奉じる価値と戦術との間にある矛盾を中和している。結果、私が「反自由主義的リベラリズム(illiberal liberalism)」と呼ぶ政治スタンスが生まれる。 近年の政治環境で最も奇妙な点の1つは、はっきりとリベラルの伝統に基づいた価値観を奉じながら、そうした価値観を促進するために、明らかに反自由主義的と言いたくなるような戦略をとる人が非常に多いことだ。ソーシャル・メディアからファシストを追放したがっている「反自由主義的な進歩派の若者(YIP:young, illiberal progressives)」が、現代の共和党員のほとんどを「文字通りの意味でのファシスト」と見なしているという話は今やおなじみである。 こうした若い活動家が、自身の表明している価値観と自身のとる政治手法との間にある

    ジョセフ・ヒース「反自由主義的リベラリズム」(2024年7月30日)
  • マーク・コヤマ「ジェームズ・C・スコット“Seeing Like a State”に関する考察」(2024年7月22日)

    市場に対する過小評価を考えると、スコットの国家に対する批判も同様の問題を抱えていないだろうか、という疑問が湧く。 イェール大学の高名な政治学者、ジェームズ・C・スコットが今月(2024年7月)の19日に亡くなったという悲しいニュースが入った。 以下に掲載するのは、私が2017年に書いた書評(に少し変更を加えたもの)である。2017年はスコットの著書『反穀物の人類史』が刊行された年だ。私はこの素晴らしい著書を受けて、国家計画、農業、経済発展におけるハイモダニズム(high-modernism)への批判として名高く、私もよく学生や友人に勧めているスコットの前著、“Seeing Like a State”『国家の視点に立つ』〔未邦訳〕について再考したくなった。 『国家の視点に立つ』は、スコットの他の著書と同様、多くのリバタリアンや古典的自由主義者に広く絶賛された(こことここを見よ)。これは驚くべ

    マーク・コヤマ「ジェームズ・C・スコット“Seeing Like a State”に関する考察」(2024年7月22日)
  • ジョセフ・ヒース「現代の魔女狩り:批判理論が陰謀論的な犯人探しに陥ってしまう理由」(2024年3月12日)

    既存の制度が様々な悪を生み出していると非難されるのだが、制度がどのように悪を生み出しているのかについて、明確な例を誰も指摘できないのだ。 現代の「批判的」な学術研究の最も際立った特徴の1つは、実践者の間で自己批判がほぼ完全に欠如していることだ。アカデミア内部でこの手の研究に対してよく言われる不満は、それがラディカルであるとか、社会秩序にとって危険で破壊的であるといったものではなく、それが極度に教条主義的になっているというものだ(批判的研究の実践者たちはこうした非難を、自身の研究がいかにラディカルで危険で破壊的であるかを確証する証拠と解釈するのに長けている。批判的研究が批判を受け付けないようになってしまった大きな理由の1つがこれだ)。 そのため私はブルーノ・ラトゥールの「なぜ批判は力を失ったのか?」“Why Has Critique Run Out of Steam?”というエッセイを読んで

    ジョセフ・ヒース「現代の魔女狩り:批判理論が陰謀論的な犯人探しに陥ってしまう理由」(2024年3月12日)
  • マーク・コヤマ「ステファン・エプスタイン『自由と経済成長』再訪」(2018年4月3日)

    前近代の経済発展においては国家が重要である、というエプスタインの大枠でのメッセージは、私自身を含む後続の研究者の仕事の中心的テーマになっている 今年の3月、私は光栄にもエプスタイン・レクチャーの講師として招かれた。「エプスタイン・レクチャー」という講義名は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの偉大な経済史研究者、「ラリー」ことステファン・エプスタイン(Stephan R. Epstein)に由来している [1]訳注:元エントリでは”Larry (Stephen) Epstein”と表記されているが、著書などにおける著者名はStephan … Continue reading 。このエントリでは、エプスタイン・レクチャーの講師となることが大変な名誉である理由を簡単に説明したい。レクチャーの内容については次の投稿を見てほしい。 エプスタインは元々、中世イタリアが専門の歴史学者だった。私がエ

    マーク・コヤマ「ステファン・エプスタイン『自由と経済成長』再訪」(2018年4月3日)
  • ジョセフ・ギャニオン&クリストファー・コリンズ 「インフレ率の目標値を3%に引き上げよ ~その見返りは、思われている以上にデカい~」(2019年12月17日)

    ジョセフ・ギャニオン&クリストファー・コリンズ 「インフレ率の目標値を3%に引き上げよ ~その見返りは、思われている以上にデカい~」(2019年12月17日) ●Joseph E. Gagnon and Christopher G. Collins, “The Case for Raising the Inflation Target Is Stronger than You Think”(RealTime Economic Issues Watch, December 17, 2019) インフレ率が2%――Fedが掲げる目標値――を下回ったままの状態が何年も続く中〔訳者注:2019年当時の話〕、マクロ経済学者の間でちょっとした論争が巻き起こっている。「さらなる金融緩和に訴えて、インフレ率が2%を上回るのもよしとすべきか――例えば、インフレ率が3~4%に達するのを許容すべきか――否か? 

    ジョセフ・ギャニオン&クリストファー・コリンズ 「インフレ率の目標値を3%に引き上げよ ~その見返りは、思われている以上にデカい~」(2019年12月17日)
  • マーク・コヤマ「古代ローマで産業革命は起こり得たか?:経済成長の起源に関する3つの議論から検討する」(2024年5月11日)

    持続的・近代的な経済成長が近代以前の「成長の開花」の時期に生じなかった理由について理解を深めれば、1800年以後に移行が生じた〔持続的経済成長が可能となった〕理由を説明する上でどの要因が重要なのかをよりよく理解することができる。 エントリは、私が書いてきた中で最も人気のある記事の再投稿である(元々は2017年にMediumで投稿したもの)。読者の中で既に読んでいた人がいたら申し訳ない。このエントリでは、私がよく人から尋ねられ、また私自身今も再検討し続けている、ある仮想的推論を扱っている。 *** 古代ローマ帝国で産業革命は起こり得ただろうか? これは、ヘレン・デール(Helen Dale)が新著『邪悪な者の帝国』”Kingdom of the Wicked“〔未邦訳〕で提起している問いだ。書を読むと、キリストは(私たちの住む世界とそう変わらない)古代ローマ世界における宗教的過激派であっ

    マーク・コヤマ「古代ローマで産業革命は起こり得たか?:経済成長の起源に関する3つの議論から検討する」(2024年5月11日)
  • ノア・スミス「でっかい問いにノーベル賞:アセモグル・ジョンソン・ロビンソンについて」(2024年10月15日)

    アセモグル・ジョンソン・ロビンソンの3人が,経済発展の大統一理論で受賞 毎年,ノーベル経済学賞が発表されるたびに,このブログで記事を書いてる.ここ3年だと,2023年のゴールディン,2022年のバーナンキ・ダイアモンド・ディブヴィグ,2021年のカード・アングリスト・インベンスについて,記事を書いた.でも,今年は書かずにすませようかとも思った.なぜって,実は今年の賞についてぼくはあんまり面白く思ってなくて,それでみんなをしらけさせるのはイヤだったからだ.とはいえ,かつては主流マクロ経済学を批判するのがブロガーとしてのぼくの持ち味みたいなものだったし,いったん自分のルーツに戻ってみるのも悪くないかもしれない. 長くこのブログを読んでる人ならきっと知ってるだろうけど,ぼくはノーベル賞全般をあまりよく思っていない.実際には,たいていの大発見は集団での大きな努力および/または小さな漸進的累積のたま

    ノア・スミス「でっかい問いにノーベル賞:アセモグル・ジョンソン・ロビンソンについて」(2024年10月15日)
  • ノア・スミス「意識高い系の起源に関する考察・前編」(2022年9月10日)

    2010年代のアメリカのイデオロギーとその起源 [Noah Smith, “Thoughts on the origins of wokeness,” Noahpinion, September 10, 2022] 2010年代のアメリカ政治文化や社会の大変動によって搔き乱された。今や多くの人が、その変動の結果として生じた社会運動や、人種や性に関する規範の変化や、歴史や国家に関する見解や、関連する社会的行動をまとめて「意識高い系1」と呼んでいる。この言葉を侮蔑語だと思っている人もいて、実際この変化に反対する人の多くは侮蔑語として使っている。…が、筆者は違う。筆者は求心力のあるムーブメントと考えるに値することに名前をつけるのは大事だと思うし、意識高い系が何であり何をしたかが完全に明らかになるまでには最低でもあと10年はかかるだろうが、ヒッピー運動やもっと前の時代の革新主義運動2と同じくらい

    ノア・スミス「意識高い系の起源に関する考察・前編」(2022年9月10日)
  • ノア・スミス「アメリカ人の平均寿命がまたのびてきてる」(2024年11月13日)

    2010年代に,アメリカの平均寿命は横ばいになって,さらにはわずかながら縮んでしまった.その後,パンデミック期に平均寿命は急落した.コロナウイルスのせいだ(また,そこまで大きい要因ではないけれど,殺人件数や薬物濫用の増加による部分もある).これを受けて,アメリカとその将来についてすごく悲観的な物語がいっそう強まったりもした. ところが,そういう物語がどんどん増えているなかで,トレンドは逆転を遂げている.アメリカの平均寿命はまた伸びつつある.すでに,パンデミック期に失った分は取り戻されている: Source: UN via @StatisticUrban 全体的に,近頃のアメリカは以前よりもちょっとだけ健康に見える.薬物濫用による死亡件数は2023年に減少したし,殺人も2021年後半から減少を続けているし,肥満も減少しつつある. よくあることだけど,アメリカの衰退をささやく噂は大幅に誇張され

    ノア・スミス「アメリカ人の平均寿命がまたのびてきてる」(2024年11月13日)
  • ダイアン・コイル 「『大いなる問い』に挑んでいる大冊」(2016年3月16日)

    ディアドラ・マクロスキー(Deirdre McCloskey)の新作である『Bourgeois Equality:How ideas, not capital or institutions, enriched the world』をほぼほぼ読み終えたところだ。出版されるのは来月(2016年4月)。出版され次第、どこかしらに書評を寄せるつもりだ。作は、『The Bourgeois Virtues』、『Bourgeois Dignity』に続く作品であり、マクロスキーが乗り出した一大プロジェクト――ブルジョア時代シリーズ――の最終巻にあたる( 『Bourgeois Dignity』については、出版時にニュー・ステーツマン誌に書評を寄せた)。当初の計画では全6巻になる予定だったらしいが、全3巻というかたちで落ち着いたようだ。とは言え、三冊ともに600ページを超えていて、相当なボリュームである

    ダイアン・コイル 「『大いなる問い』に挑んでいる大冊」(2016年3月16日)
  • ジョセフ・ヒース「アメリカ人は争いを楽しんでいる」(2024年11月9日)

    昔からの友人に、いわゆる「ドラマクイーン(drama queen)」 [1]訳注:芝居がかった大袈裟な言動で過剰に騒ぎ立てる人を指す表現。「悲劇のヒロイン」のニュアンスに近い。 がいる。といっても、泣き叫んだり人を怒鳴りつけたりするといったステレオタイプな意味でのドラマクイーンだったわけではない。彼女は教養と知性のある女性で、その行動は非常に目立ちにくいものだった。実際あんまりにも目立ちにくいので、彼女の問題に何年も気づけなかったほどだ。 彼女は常に、人間関係の複雑な網の目の中心人物だった。その人間関係はいつも不安定で、常に「何か」が起こっており、彼女はそうした問題について熱心に語りたがった。彼女の話に引きずり込まれないようにするのは至難の業だった。知り合ってから最初の10年くらいは、彼女がそうした問題について語る度に、私も熱心にそれを聞いて、様々な視点から問題を検討し、あり得る解決策をい

    ジョセフ・ヒース「アメリカ人は争いを楽しんでいる」(2024年11月9日)
  • ノア・スミス「アメリカで肥満率がついに下がりだしてる」(2024年10月14日)

    「アセトアミノフェン / ほらお薬だよ / ああキミったら」 ―― The White Stripes 大きな吉報がやってきた.何十年も手が付けられないほど上昇を続けた末に,ついにアメリカの肥満率が下がりだしてる.国民健康栄養調査(医師の診察にもとづくすごく信頼できるデータソース)から得られたデータをジョン・バーン=マードックが分析したところ,2020年以降に肥満率が下がってきているのがわかった: Source: John Burn-Murdoch このグラフにはひとつ問題点があるのには留意したい(折れ線の末尾に矢印を描くと誤解を招くのにいまだにジョンが矢印をつけてるのとは別の問題点だ).実際の国民健康栄養調査データは2年の時間をかけて収集されている.だから,バーン=マードックが「2023年」とラベルを貼ってるデータは,実のところ2021年8月から2023年8月までのデータだ.このちょっと

    ノア・スミス「アメリカで肥満率がついに下がりだしてる」(2024年10月14日)
  • ジョセフ・ヒース「初心者を経済学に入門“させない”方法」(2015年1月14日)

    驚くべき動画が公開された。アレックス・タバロックとタイラー・コーエンが最近、彼らの運営する「マージナル・レボリューション大学」 [1]訳注:タバロックとコーエンが運営するブログ「マージナル・レボリューション(Marginal … Continue reading でミクロ経済学の新コースを開講するにあたって、入門教科書の宣伝も兼ねた短いプロモーション動画を公開したのだ。彼らは、「経済学って楽しい、親しみやすい、怖くない」と思えるような動画作りに力を尽くしている。ほとんど全てのセリフにちょっとしたかわいらしいアニメーションがついていて、経済学の勉強は怖くないと思ってもらえるよう作られている。だが動画も中盤にさしかかると、彼らはそれまでの努力をうっちゃって、普通の視聴者を置いてけぼりにすること請け負いのセリフを述べ始めてしまう。動画を見て、彼らの失敗に気づけたか確認してみてほしい。 Intro

    ジョセフ・ヒース「初心者を経済学に入門“させない”方法」(2015年1月14日)
  • ジョセフ・ヒース「学問としてのマルクス主義はなぜ凋落したのか」(2024年9月15日)

    先日投稿した「ジョン・ロールズと西洋マルクス主義の死」(原文はここ、邦訳はここで読める)という記事が、このブログ(In Due Course – substak)に投稿してきたこれまでのどのエントリより数倍も多くの読者に読まれた。私はこの事実を突き付けられ、最近の人が何を読みたがっているのかについて、自分が根的に何も分かっていないことを認めざるを得なくなった。これほどたくさん読まれると分かっていたら、このエントリはもうちょっと違った形で、カジュアルさを落として書いていただろう。 具体的に言うと、先のエントリは、私の人生の一時期に政治哲学の分野で起こった1つの論争を説明しようとしただけだった。西洋マルクス主義の運命について全般的な説明を行おうとしていたわけではなかったのだ。そこで私が述べたのはある意味で、(少なくとも哲学者の間における)マルクス主義理論へのとどめの一撃である。だが、マルクス

  • ノア・スミス「中国,マクロ経済の現実に目覚める」(2024年9月30日)

    中国が総需要不足に苦しんでるって話をして,解決法も論じておいた(日語版).その解決法とは,中央政府が A) 銀行と地方融資平台に救済措置をとることと,B) 財政・金融の両方で刺激策を打つことだ. 2週間前の記事で,中国が総需要不足に苦しんでるって話をして,解決法も論じておいた(日語版).その解決法とは,中央政府が A) 銀行と地方融資平台に救済措置をとることと,B) 財政・金融の両方で刺激策を打つことだ. ひょっとして,習近平がぼくのブログを読んだのかもね [n.1].中国は,もっと格的な刺激策を打ち出している: この火曜に,中国人民銀行は,世界中に生中継するという珍しいかたちをとって記者会見を開き,市場心理に息を吹き返させるための先陣を切った.いわばこれまで温存していた武器庫を開いて,株式市場に資金を投入し,借り入れコストを引き下げるという.その翌日にも引き続き前向きなニュースを提

    ノア・スミス「中国,マクロ経済の現実に目覚める」(2024年9月30日)
  • ノア・スミス「エネルギーが潤沢だってことは水が潤沢だってこと」(2024年8月26日)

    グリーンエネルギーは安価なエネルギーでもあるって話を,ここではたくさん書いている.太陽光発電とバッテリーによって,地球を煮えたぎらせずに産業文明を維持できるようになるばかりか,石油時代がはじまっていらい初めてエネルギーテクノロジーが根から改善される.ずっと停滞が続いてきた一人あたりエネルギー使用量も増加してほしいところだ.実のところ,エネルギーは「安上がりすぎてメーターで測るまでもない」ほどになりはしないだろう――人々がエネルギーの新しい使い途をあれこれと見つけていって,需要も伸びるだろうからね.でも,エネルギーはいまよりも潤沢になるはずだ. 「でも,だからどうだっての? 誰がもっとエネルギーを必要としてるって? 豊かな国々に暮らす人たちは,もう住居を明るく照らすのも車で通勤するのもコンピュータを動かすのも冷蔵庫を稼働させておくのも,みんなまかなえてるじゃん.エネルギーにいっそう安上がり

    ノア・スミス「エネルギーが潤沢だってことは水が潤沢だってこと」(2024年8月26日)
  • ノア・スミス「TikTok はいまも言論を抑圧している」(2024年8月26日)

    このまとめ記事のシリーズ23回目で,中華人民共和国に批判的な言論を TikTok が抑圧しているのを示すとてもしっかりした証拠に触れておいた: ネットワーク伝播研究所 (NCRI) による新研究で,[中国がプロパガンダ目的に TikTok を利用しているという事態は]すでに起きており,しかも非常に実質のあるかたちでなされていることが裏付けられた.Instagram と TikTok に投稿されたショート動画のハッシュタグを比較することで,どの話題を TikTok のアルゴリズムが押し上げたり抑圧したりしているのかを把握できる(…).一般的な政治的話題(BLM,トランプ,中絶など)に関わるハッシュタグは Instagram に比べて 約 38% の人気を TikTok では得ている.ところが,中国共産党にとって差し障りのある話題の――たとえば天安門事件,香港の抗議運動,一斉検挙などの――ハッ

    ノア・スミス「TikTok はいまも言論を抑圧している」(2024年8月26日)
  • ジョセフ・ヒース「ジョン・ロールズと西洋マルクス主義の死」(2024年8月25日)

    「ロールズの著作を読むとき,最大の難所は,どうしてそのがそんなにも重要だったのかを見抜くことだよ――なにしろ,おそろしく退屈に思えるからね(一般向け,初歩的,などなど).」 この難所を乗り越えるために私から言える最良の提案は,『正義論』を読むのであれば,「これこそ,西洋マルクス主義を殺しただぞ」と思いながらとりかかり,いったいどうやってそれを成し遂げたのかを見抜くことに集中することだ. その昔,まだ私が学部生だった冷戦末期に,政治哲学で最高に熱い事態が起きていた.それは,英語圏でのマルクス主義の力強い再興だ.その仕事の大半は,「分析マルクス主義」という旗の下で進められていた(別名「たわごと無用のマルクス主義」ともいう).その発端となったのは,ジェラルド・コーエン『カール・マルクスの歴史理論:その擁護』の出版だ(あと,同書出版後にコーエンがオックスフォード社会政治哲学のチェリ講座教授に就

    ジョセフ・ヒース「ジョン・ロールズと西洋マルクス主義の死」(2024年8月25日)