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ブックマーク / econ101.jp (69)

  • マイルズ・キンボール 「ドル紙幣について知っておくべき基本的な事実」(2018年10月18日)

    ドル紙幣について誰もが知っておくべき基的な事実がいくつかある。 市中に流通しているドル紙幣の大半は、100ドル紙幣。 市中に流通するドル紙幣のうちで100ドル紙幣が占める割合は、上昇傾向にある。 大半のドル紙幣――とりわけ、100ドル紙幣――は、海外で流通している。 ジョー・クラヴァン・マッギンティー(Jo Craven McGinty)がウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事(2018年7月6日付)で報じているところによると、そうらしいのだ。記事の一部を引用しておこう。 連銀(Fed)が公表している情報によると、昨年(2017年)の終わりの時点で市中に流通していたドル紙幣の総額は1兆6000億ドルで、そのうちの1兆3000億ドル――全体の80%――が100ドル紙幣だったという [1] … Continue reading。1997年の終わりの時点ではどうだったかというと、市中に流通し

    マイルズ・キンボール 「ドル紙幣について知っておくべき基本的な事実」(2018年10月18日)
  • アレックス・タバロック 「マネーロンダリング対策の欺瞞」(2021年1月22日)

    マネーロンダリング(資金洗浄)対策は、コストが嵩む(かさむ)わりに、効果に乏しいようだ。 大まかな推計になるのは致し方ないが、年間3兆ドルに及ぶと見込まれている不正資金のうち、当局が差し押さえるのに成功しているのは約30億ドル。成功率は0.1%だ。その一方で、マネーロンダリング関連の法令を遵守するために、銀行をはじめとした民間の合法な企業が負担している費用は、年間で3000億ドルを上回っている。当局が犯罪組織から差し押さえている額(30億ドル)の100倍以上だ。 ・・・(略)・・・犯罪組織は、年間で30億ドルを差し押さえられている。その一方で、銀行をはじめとした民間の合法な企業は、法令を遵守するために年間で3000億ドルの費用を負担しているだけでなく、80億ドルの罰金を科されている。マネーロンダリング対策の真の標的は、非合法の犯罪組織ではなく、合法の組織なのではないかと疑いたくなるのも無理

    アレックス・タバロック 「マネーロンダリング対策の欺瞞」(2021年1月22日)
  • ジョセフ・ヒース「民主主義における政党の役割:ロブ・フォードについての考察その3」(2014年5月3日)

    トロント市長ロブ・フォードが、選挙キャンペーン(と自身の仕事)を一旦やめてリハビリに専念することに決めた [1] … Continue reading 。トロント市民の多くは、このニュースを聞いて間違いなく安堵したことだろう。現実の問題について議論できるようになるかもしれないと考えると、ほとんど胸が躍るような気持ちになる(また私としては、オリヴィア・チャウ [2]訳注:トロント市長選での左派の候補者。ヒースは、再分配に傾倒しすぎているとしてチャウに批判的な態度をとっている。このエントリを参照。 に投票しなければならない義務感を抱かずに済むという開放感もある)。 題に入る前に、フォードに少しだけだがお別れの言葉を述べておきたい。みんなと同じく、そうする誘惑に抗しきれないからだ(これは当のお別れではない。フォードはまず間違いなく30日以内に戻ってくるだろう。「願わくばお別れにしたい」という

    ジョセフ・ヒース「民主主義における政党の役割:ロブ・フォードについての考察その3」(2014年5月3日)
  • ジョセフ・ヒース「有名人による支配?:俳優が政治家として成功しない理由」(2016年1月17日)

    民主主義社会における政治システムの最上層(つまり、テレビが最も重要な情報伝達媒体となっている領域)は、なぜ俳優に乗っ取られていないのだろう? ケヴィン・オレアリー〔カナダの有名な実業家で、テレビ番組のパーソナリティもつとめていた人物〕がカナダ保守党の党首選への立候補を検討しているらしい。このニュースは床屋政談好きの人々(chattering class)に、ここ数カ月渇望していた話の種を与えてくれた。 もちろん、オレアリーが当選する見込みはない。オレアリーはフランス語を話せないからだ。自分はモントリオール生まれで、理屈抜きで「ケベックを理解している」から、フランス語を話せなくても問題はない、というのがオレアリー自身の主張だ。言うまでもないが、当にケベックを理解している人なら、ケベックのフランス語話者が何よりも嫌っているのは、ケベック出身でフランス語を話せない人だと知っている。サスカチュワ

    yamamototarou46542
    yamamototarou46542 2024/07/05
    「私たちは、俳優が…と自然と勘違いし」おしん出演の俳優に対する一部日本国民の反応を想起した
  • アダム・トゥーズ「ドイツの財政健全化への執着は、有権者を極右の支持に追いやっている。近年のドイツの成功とされているものについて」(2023年10月9日)

    民主主義国家が、こうした緊急、明白、十分に理にかなった要求に応えず、ナンセンスな財政健全化の原理を優先するなら、正当性を喪失してしまうのも不思議ではない。国家による自殺行為だ。 ドイツの政権与党SPD(ドイツ社会民主党)は、バイエルン州とヘッセン州の地方選挙で大敗した。この大敗は、今のドイツを覆っている雰囲気を示している。ドイツの各地域には固有の問題があるが、ヘッセン州とバイエルン州は、ドイツ連邦のジグソーパズルにおいて重要なピースであり、この2つの州で現首相のシュルツが率いる〔中道左派政党〕SPD(ドイツ社会民主党)は、〔極右政党〕AfD(ドイツための選択肢)の後塵を拝し、メンツが丸潰れとなった。 SPDは、ヘッセン州での健闘を見込んでいたのだが、AfDの18.4%に対して、15.1%という惨憺たる結果だった。金融の中心地フランクフルトを含むヘッセン州は、極右政治の長い伝統があるが、今回

    アダム・トゥーズ「ドイツの財政健全化への執着は、有権者を極右の支持に追いやっている。近年のドイツの成功とされているものについて」(2023年10月9日)
  • ノア・スミス「アメリカは日本で(そして韓国でも)軍艦をどんどん建造する必要がある」(2024年5月10日)

    By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0 アメリカは,海軍の艦艇建造に大問題を抱えている.それに,商船の造船産業も大したことがない.いま,多くの人たちが,正当にもこの件で頭を抱えている.というのも,この船舶建造能力の問題で,アメリカ中国との大規模な戦争に負けるという差し迫った危機に瀕してしまうからだ. 「じゃあ,どこが船舶をつくれるの?」 日韓国だ.どちらもいかにも小さそうなアジアの同盟国だけど,両者を合わせると,その造船産業は中国のそれとほぼ互角だ.さらに,商船の造船規模こそ韓国の方が大きいけれど,日は複雑なハイテク海軍艦艇もつくれる.先だって,第二次世界大戦いらい初の空母を建造したばかりだ. すると,単純な解決案が浮上してくる:アメリカ海軍の艦艇を日で建造すればいい.そうすれば,短期的にアメリカの艦艇調達問題を解決する助けになる.それに,日製品の

    ノア・スミス「アメリカは日本で(そして韓国でも)軍艦をどんどん建造する必要がある」(2024年5月10日)
  • リ・ガンクック「岸田文雄の『新しい資本主義』について」(2024年6月6日)

    2021年9月、岸田文雄は「新しい資主義」という野心的な綱領を掲げて首相に選出された。岸田は、自民党の党首として、経済成長と所得分配の好循環をもたらす新規で、より良い経済システムの実現を約束してみせた。日政府はこの「新しい資主義」を推進するための計画をいくつか提示したが、日国民は依然として現在の実体経済に不満を抱いている。日の株式市場は急騰し、日経平均は一時的に約34年前のバブル期の水準を超えたが、2023年半ば以降の経済成長は停滞している。岸田政権の支持率は着実に低下しており、2022年当初には50%を超えていたが、2024年2月には25%にまで低下した。 革新的な経済運営を約束したのは、岸田政権が初めてではない。2013年、安倍晋三は、拡張的な金融政策によって日経済を復活させることを約束した。しかし、アベノミクスや、現在の岸田プランにも関わらず、賃金の伸びは停滞したままだ。

    リ・ガンクック「岸田文雄の『新しい資本主義』について」(2024年6月6日)
  • ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)

    経済学には,「シュタッケルベルグ競争ゲーム」っていう古い理論がある.あらゆる企業が同時に自分たちの商品・サービスの価格を設定するんじゃなくて,ひとつの重要な企業が価格を設定して,残りの企業のペースを定めてしまうんだ.最初に動く先行者とその追随者がいる状況では,基的にこのゲームが現実を単純化した表現になっている(先行者も追随者も,それぞれ単数かもしれないし複数かもしれない).シュタッケルベルグ・タイプのモデルを使って,国際貿易政策を分析している人たちもいるし,ごくわずかだけど,アメリカ-中国間の競争にこの考えを応用している人たちもいる. いずれ,いま世界中で起こりつつある貿易戦争についてシュタッケルベルグ・タイプの論文を書く人もそのうち現れるんじゃないかとぼくは見てる.一般に,中国がこのゲームでの「先行者」だ.なにしろ,中国の送り出してる洪水のような輸出製品によって他の国々は保護主義的な対

    ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)
  • ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)

    パレスチナ抗議運動が Z世代に活動家の情熱の火をともしていないのがあらわになっている.それどころか,たいていの若者は,これがまるごと終わってくれるのをただ静かに待っている. 我ながら,パレスチナ抗議運動について書くのにはだいぶ飽きてる.2週間前の記事で言いたいことはだいたい言い尽くしていて,この運動全体がちょっとつまらないというのがぼくの中心的な論点だった.ただ,最近出たこの世論調査の結果は掲載した方がよさそうだ.というのも,ぼくが言ってたことはだいたいこれで裏付けられるからだ. Generation Lab は1250名の大学生を対象に調査を実施して,自分がとくに重要だと思う3つの問題を彼らに選んでもらった.パレスチナに言及したのは,たった 13% だけだった: Source: Axios この世論調査について,Axios がもうちょっと詳しいことを言っている: 抗議運動のいずれかの側に

    ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)
  • ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)

    移民受け入れを支持する人間として,ぼくは懐疑的な人や批判的な人に耳を貸すようにつとめてる.どんな国にも,自らがのぞむならどんな人間でも招き入れる権利がある――あるいは,入国を拒否する権利がある.移民の流入で自分たちの文化が変わってしまうのを人々が心配しているなら,それは完璧に許容されるべき態度だ. ただ,それと同時に,移民流入制限派の人たちは移民受け入れにともなう経済的な害悪をあれこれとたくさん主張している――賃金低下,政府財政への負担,などなど.それでいて,そういう主張はずっと証拠と矛盾しつづけている. たとえば,多くの証拠から,移民流入は――低技能移民の流入ですら――現地生まれの人たちの賃金や雇用の見通しに悪影響を及ぼしていないことが明らかになっている〔日語版記事〕.最近出た Michael Clemens & Ethan Lewis の論文を見てみると,この研究はとても「きれい」な

    ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)
    yamamototarou46542
    yamamototarou46542 2024/05/13
    移民に対して慎重な態度を取る人々はいわゆる「外部不経済」を問題としているんじゃないのか?
  • ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)

    さて,今回の小ネタ選集は,ちょっと憂なマクロ経済ニュースで締めくくろう:どうやらインフレ率が再加速しつつあるようだ. 個人消費支出 (PCE) インフレ率(パーセンテージ変化,年率) / Source: Jason Furman もっとデータを見たい人は,ジェイソン・ファーマンの更新スレッドを覗いてみるといい.インフレ率の数字は,おおよそ全体的に上がってきている. なにが起きてるんだろう? フーシ派民兵による紅海航行の混乱も,ひとつの要因かもしれない.ただ,サンフランシスコ連銀の分析によると,3月のインフレの多くは需要側の要因に起因しているそうだ: 青が需要側要因のインフレ率,緑が供給側要因のインフレ率,黄色はどちらとも判別できない部分 / Source: SF Fed 利上げがあって,しかもパンデミック期の給付による貯金がおおよそ使い切られた状況で〔参考〕,需要側に起因するインフレの原

    ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)
  • ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)

    過去10年というもの,アメリカの多くの大企業は純粋な収益に傾注することから離れて,社会的・政治的な活動に力を入れるようになった――たいていは,進歩派〔左派的〕な方向での活動だ.この減少は,しだいに「ウォーク資」(woke capital) として知られるようになった〔woke は,差別や不公正に敏感な態度を示す傾向を意味する〕.Fan (2019) は,この傾向をこんな具合にまとめている: Apple, BlackRock, Delta, Google(現Alphabet),Lyft, Salfesforce, Starbucks といった名だたる企業が,近年,さまざまな社会問題について非常に公の態度をとっている.かつて,企業はもっぱら社会問題を前に沈黙していた.いまや,その逆になっている――企業は,社会運動で顕著に人目につく役割を果たしており,ときに,企業が議論を先導している場合もある

    ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)
  • ノア・スミス「『技術革新と不平等の1000年史』書評」(2024年2月21日)

    「人類がなしとげた記念碑的な技術的偉業に目をくらまされてはいけない」――アセモグル & ジョンソン いたるところで「2023年の最重要ビジネス書」のリストに『技術革新と不平等の1000年史』が挙がっていたのは,意外でもなんでもないだろう.まず,著者たち自身の経歴からして,比肩する者がいない.ダロン・アセモグルのことを経済学界の発電所と呼んでも,人の実績にばかばかしいほど釣り合わない: 「2005年から2020年のあいだに経済学のトップ5学術誌に掲載された著者の苗字でワードクラウドをつくるとこうなる」 それに,アセモグルは国々の発展を制度から説明する説の主要な提唱者でもある.これまでに,アセモグルは『国家はなぜ衰退するのか』やその続編の『自由の命運』(ジェイムズ・ロビンソンとの共著)という有名なで,この説を展開してきた.ぼくが「包摂的制度」や「収奪的制度」がどうのって話をしてるときには,

    ノア・スミス「『技術革新と不平等の1000年史』書評」(2024年2月21日)
  • ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)

    アメリカの不穏な情勢はピークを迎えていると,かなり早いうちにぼくは発言していた――だいぶさかのぼって,2021年中盤のことだ.それ以来に起きたいろんなことは,その判断と広い範囲で整合している.ただ,もちろん,不正だとして選挙に異論が唱えられたり今年の大統領選挙でトランプが当選したりすれば,状況は大きく変わるかもしれない.ともあれ,社会の不穏な情勢はちょっぴり引き潮になりはじめている小さなきざしはひとつまたひとつと現れている. たとえば,2020年2月(パンデミックが全面的に社会を襲う前)に比べて,いまニュースウェブサイトを人々が見る量はだいぶ減っている.また,右派系ウェブサイトへのトラフィックを見ると,非主流・過激派サイトも主流派サイトも,いっそう流入数が減っている. Source: TheRighting 左派はどうかと言うと,ハサン・パイカーみたいな主要な左派系ストリーマーの視聴数も,

    ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)
  • ノア・スミス「ジョー・バイデンが原子力を支援」(2024年3月29日)

    原子力発電は,グリーンエネルギーの主力にはなりそうにない.主力は太陽光発電だろう(蓄電用バッテリーと併せて).とはいえ,それでも原子力が重要なことには変わりないよ.なにより,建設済みの原子力発電所はたくさんある.ドイツやニューヨークがやったように,そしていまカリフォルニアがやろうという構えを見せているように,そういう原発を閉鎖するのは,気候変動危機を目前にした状況では狂気の沙汰ってものだ.それに,原子力は天然ガスの最後のシェアを置き換える「クリーンファーム」電力をもたらす有用な源泉だ.原子力発電に環境保護団体が反対するのは愚かしい. その一方で,これまで歴代の大統領は民主党だろうと共和党だろうと,原子力発電にリップサービスだけしておいて,支援はほとんどしてこなかった.トランプは原子力研究にちょっとお金を出させたけれど,既存の原子力産業を支援するお金は大して出させなかった. でも,ジョー・バ

    ノア・スミス「ジョー・バイデンが原子力を支援」(2024年3月29日)
  • ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)

    ソーシャルメディア利用と精神衛生の悪化の相関を見出してる研究は山ほどある.でも,de Mello, Cheung, & Inzlicht によるこの研究こそが,ぼくにとっては真打ち登場って感じだ: 世間の論議では,よく,Twitter(現 X)がユーザーと社会に有害な影響を引き起こすと言われている.稿では,合衆国の Twitter ユーザーたちの代表的標から252人の参加者を得て調査を行うことで,この研究課題に取り組む.我々は,一日5回の質問を7日間にわたって継続した(6,218回の観察).調査結果から,Twitter 利用が幸福度の悪化および政治的二極化・怒り・帰属感覚の増加に関連していることが明らかになった.効果量は,社交的なやりとりが幸福度にもたらすものに近い.こうした影響は,人口統計上の特徴〔年齢や居住地域や就業状況など〕や性格特性を考慮しても一貫していた.データから推測される

    ノア・スミス「Twitter 入り浸りは精神衛生に有害」(2024年3月9日)
    yamamototarou46542
    yamamototarou46542 2024/03/16
    はてなブックマークや匿名ダイアリーは精神的のみならず知識的にもより有害では?
  • マーク・ソーマ 「『民営化』なる語の意外な起源」(2006年9月11日)

    マイケル・ペレルマン(Michael Perelman)が「民営化」(“privatization”)という語の起源について詳らか(つまびらか)にしている――ちなみに、ペレルマンと初めて出会ったのは、私がカリフォルニア州立大学チコ校で学部生として学んでいた時だから、もう何十年も前になる。ペレルマンから教えを受けたのだ――。 “The Nazi Heritage of Privatization” by Michael Perelman: 自由放任(レッセ・フェール)を是とする陣営において大人気なのが「民営化」だが、Journal of Economic Perspectives誌に掲載されたばかりの論文で、「民営化」という語の起源が探られている。「民営化」という語の生みの親は、ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)・・・ではなく、ナチスというのが真相のようだ。ナチスが「民営化」

    マーク・ソーマ 「『民営化』なる語の意外な起源」(2006年9月11日)
  • ノア・スミス「今週の小ネタ: 都市を視覚化する新しい方法」(2024年3月9日)

    前回の記事では,すごく密集していながらもあんなに素敵な都市を日がつくりだしている「秘伝のタレ」とぼくが見込んでいるものを解説した.カギを握っている要素はいくつかある.その一つは,素晴らしい公共交通システムだ.このシステムのおかげで,人々は都心部に暮らすことなくすごくかんたんに都心で働いたり買い物したりできている. 東京の人たちが実際にどこに住んでいるかに着目すると,このことが見てとれる.ジョナサン・ノーランが Citydensity.com ですてきな新ウェブツールを用意している.これを利用すると,いろんな都市の人口密度を――つまり住人たちが実際にどこに住んでいるかを――〔中心部からの〕距離ごとにあれこれと比較できる. さて,西洋のいろんな大都市と東京を比べてみると,都の中心部では東京が他より高密度になっているわけではないのがわかる.ところが,中心部から5キロ,10キロと離れていくと,東

    ノア・スミス「今週の小ネタ: 都市を視覚化する新しい方法」(2024年3月9日)
  • トマシュ・ウィラデク「量的緩和と伝統的金融政策、どちらがインフレに強い影響を与えるのだろうか?」(2024年1月3日)

    記事では、8つの計量手法を用いて、ユーロ圏、イギリス、アメリカについて、量的緩和と伝統的金融政策〔短期金利の操作〕を比較し、インフレへの影響を検証する。 パンデミック後の先進国全般でのインフレの高進について、量的緩和(QE)が重要な役割を果たしたと多くの論者が主張している。もし中央銀行が伝統的金融政策を採用していたなら、インフレの結果は異なっていたのだろうか? 記事では、8つの計量手法を用いて、ユーロ圏、イギリス、アメリカについて、量的緩和と伝統的金融政策〔短期金利の操作〕を比較し、インフレへの影響を検証する。検証から、量的緩和は、伝統的金融政策よりもインフレへの強い影響をもっていることが示された。このことから、パンデミック時代に取られた量的緩和政策によって生じたインフレを目標値に戻すためには、伝統的金融政策での引き締め〔短期金利金利の引き上げ〕がどの程度まで必要なのかについての議論に

    トマシュ・ウィラデク「量的緩和と伝統的金融政策、どちらがインフレに強い影響を与えるのだろうか?」(2024年1月3日)
  • ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)

    ChatGPTをはじめとする生成AI人工知能)の目覚ましい成功は、機械の台頭が労働者にどのような影響をもたらし、最終的に我々の社会をどう変えるのかについて沸騰していた議論にさらに火をくべた。破滅派は、ロボットが人間に取って代わり、人類文明を滅ぼすだろうと予測している。楽観派は、成長に伴う苦しみは避けられないが、乗り越えれば、新たなる知的機械によって我々社会はもっと良くなるだろうと主張している。なんだかだいっても、人類は、過去の技術革命を特に悲惨な結果とせずに、うまく消化してきている。 しかし、歴史から学ぶのは、簡単ではない。AIによる革命は、我々社会に新たな予期せぬストレスをもたらすだろう。現在、技術のシフトのもたらす勝者と敗者について議論されているが、これは重要な側面を欠いている。技術シフト後に社会・政治的な混乱がどれだけ生じるかも重要だ。 この原理の極端な例として、ある特殊な労働者階

    ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)