C++ の入門書というと一般にはどうしても C の延長線上という切り口を持つものが多い。もちろん、それは C++ にとっては最大の長所(C の資産を流用しやすい)であり、かつ最大の短所(中途半端なオブジェクト指向 ?)でもあるのだが、それだけに本書はそういった通俗的ではない切り口を持つだけでも注目できる本だと思う。実際、本書は既に新版が邦訳されており人気もあるようだ。 具体的にいうと、C++ の文法や機能としてどういうもののあるのかは分かったが、それを C++ として、もっといえばオブジェクト指向的な文脈として使うとはどういうことなのか――という点で疑問を持つ人に勧められる内容になっている。本書が謳う売り文句ではないが「なぜそういう機能があるのか」という視点に立った説明は無味乾燥な機能の羅列よりもはるかに理解しやすい。また、C の経験者を意識した同一プログラムを C から C++ へと書き