安全は取り戻せるか＜上＞ 企業風土 : ＪＲ脱線事故 : 特集 : 関西発 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）脱・懲罰徹底難しく 休日も、青年は交際していた女性を誘って電車に乗った。運転士になって間もないころだ。仕事に早く慣れたくて、駅が近づくと、どこでブレーキをかければいいか確かめたという。 そうして新幹線を運転することを夢見ていた高見隆二郎運転士（死亡当時２３歳）は脱線事故の前年、快速列車を運転してオーバーランを犯した。「会社の信用問題や」「ウソをつくな」。上司から叱責（しっせき）を浴び、１３日間の日勤教育を課せられた。女性は、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会（事故調）の調査官に証言した。「あの時が一番落ち込んでいた。『今度ミスしたら辞めさせられる』とも言っていた」 事故調は同僚の運転士らにも聴取を重ね、最終報告書では「懲罰的な日勤教育が心理的重圧となり、事故を誘発する恐れもある」と結論づけた。 これまで、ＪＲ西日本の主張は、丸尾和明副社長が２月の事故調の聴取会で公述した「再教育は有用。乗務
