2009年の実施に向けていろいろと話題になっている裁判員制度であるが、法務省が辞退事由を拡大する政令案を公表した。 その中身は、 「妊娠や転居のほか「精神上、経済上の重大な不利益が生じる場合」という包括的規定を設け、裁判官が辞退の可否を弾力的に判断できるようにした。」(日本経済新聞2007年10月24日付第1面) というものであり、記事によれば、 「政令案に「精神上の不利益」が規定されたことで、裁判員候補者が「精神的負担に耐えられない」と申し出た場合、裁判官の判断で辞退が認められる可能性がある。」(同上) ということである。 選ばれる側の一般市民に対して、「裁判員制度」が過度の負担を課すことを避ける、という点において一定の評価はしてよい中身だと思われるし、「思想・信条」を辞退理由に加えなかったことと合わせて*1、穏当な落としどころを模索する当局の意向が伝わってくる政令案だといえるだろう。