――船内のオペレーションの不備が、国内の感染症対策の課題につながる部分があると指摘されています。 それが、アメリカのCDC(米疾病対策センター)のような専門家集団の組織が日本にはないという問題だ。よく誤解されていることだが、クルーズ船の問題は現場の検疫官が防護服をきちんと身に着けていなかったというような、個々人の不手際の問題ではない。感染症対策にあたる際の日本の組織的、構造的な問題だ。 この問題はすでに2009年の新型インフルエンザのときに指摘されていた。日本にはCDCのような組織がなく、専門知識のない官僚が感染症対策を担っている。これはよくないという話は新型インフルエンザの総括会議などで指摘されていた。だが、「終わったことを蒸し返すな」みたいなことを言われていた。 日本版CDCはなぜ生まれないのか ――なぜ日本版CDCができないのでしょう。 理由はよくわからない。厚生労働省の職員も、十分