大阪市の松井一郎市長は5日、愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」で元従軍慰安婦を象徴した少女像などの展示について「民間であれば展示は自由だが、税金を投入してやるべきではなかった」と述べ、中止は当然との認識を示した。市役所で記者団の取材に答えた。 松井市長はさらに少女像を「表現の自由とはいえ、事実とあまりに懸け離れている単なる…
大阪市の松井一郎市長は5日、愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」で元従軍慰安婦を象徴した少女像などの展示について「民間であれば展示は自由だが、税金を投入してやるべきではなかった」と述べ、中止は当然との認識を示した。市役所で記者団の取材に答えた。 松井市長はさらに少女像を「表現の自由とはいえ、事実とあまりに懸け離れている単なる…
「憲法違反」と名古屋市の河村たかし市長を批判する愛知県の大村秀章知事=名古屋市中区の愛知県庁で2019年8月5日午前10時5分、竹田直人撮影 名古屋市などで開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元従軍慰安婦を題材とする「平和の少女像」などの展示が3日に中止となった問題で、芸術祭実行委員会会長を務める愛知県の大村秀章知事は5日、像の撤去を求めた名古屋市の河村たかし市長に対し「(表現の自由を保障する)憲法21条に違反している疑いが非常に濃厚」などと批判した。定例記者会見で述べた。 大村知事は「公権力は、市民の思想信条に関与することはできない。表現の自由は戦後民主主義の根幹だ。河村さんの行為は検閲ととられても仕方がない」などと主張した。
キム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻による「平和の少女像」(右、中央)とアン・セホンが撮影した「慰安婦」の写真(左)=名古屋市東区の愛知芸術文化センターで2019年7月31日、大西岳彦撮影 名古屋市などで開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、従軍慰安婦を題材とする「平和の少女像」の展示中止が決まったことを受け、新聞労連や民放労連などでつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(MIC)は4日、声明を発表した。少女像の撤去を要請していた河村たかし・名古屋市長に対し、「行政が展覧会の内容に口を出し、意に沿わない表現を排除することになれば、事実上の『検閲』にあたる」と批判し、発言の撤回を求めた。 国際芸術祭の実行委会長代行でもある河村市長は、開催に文化庁から補助金の交付が採択されている点を理由に、「あたかも日本国全体がこれ(少女像)を認めたように見える」「多額の税金を使ったところで
学生たちにイタイイタイ病裁判について語る松波淳一さん(右端)=富山市五福の富山大で2019年5月21日、青山郁子撮影 昨年、公害病認定から半世紀を迎えたイタイイタイ病(イ病)の教訓を次世代に伝えようと、地元の富山大(富山市五福)で、イ病から環境を考える講義が続いている。イ病裁判の原告、高木良信さんらを外部講師に招いた講義には、全学部から毎回約100人が聴講。若者の立場でのイ病の考察に取り組んでいる。【青山郁子】 ゼミ生の発言にショック イ病研究に取り組み始めた経済学部の雨宮洋美准教授(経営法学)が、「人が少しくらい死んだとしても、富山の発展を優先させるのが行政の仕事だ」というゼミ生のイ病についての考え方に衝撃を受け、昨年から開講している。2年目の今年は、高木さんのほか被害者救済にあたってきた萩野病院(富山市婦中町萩島)の青島恵子院長、イ病裁判の原告側代理人を務めた松波淳一・元弁護士ら、患者
ドイツ・ブラウン社の工業デザイナー、ラムス氏のデザイン展「純粋なる形象-ディーター・ラムスの時代」(2008年11月~09年1月、サントリーミュージアム[天保山])。企画した学芸員の植木啓子さん、図録を作ったシマダタモツさん、印刷を担当したアサヒ精版印刷のマリさん(築山万里子さん)、それぞれの10年前--。 マリさんが会社のロッカーをガサゴソ探して引っ張り出してきたラムス展の資料の中に、当時のスケジュール表が残されていた。それを見ると当初予定では、図録の入稿開始が08年8月22日で、展覧会の4日前に納品となっている。 ところが実際には……。「10月14日入稿開始! 2カ月近くも遅れた。11月14日の内覧会の朝イチで納品したのを覚えてる」とマリさんは苦笑交じりに振り返る。なんでそんなに遅れたのかというと、前回述べたように、ドイツで撮るはずだった写真に満足いかなかったシマダタモツさんが「日本で
ドイツ・ブラウン社で40年以上にわたって製品デザインを手掛けたディーター・ラムス氏をクローズアップした「純粋なる形象-ディーター・ラムスの時代」は2008年11月15日、大阪市のサントリーミュージアム[天保山]で無事、幕を開けた--。 「お客さんが押し寄せるという展覧会ではなかったけれど、メディアの取材も多く、ある雑誌の副編集長は『これを見ないデザイナーはデザイナーと認めない』と書いてくれました」。学芸員の植木啓子さんは振り返る。玄人受けした展覧会だったのだ。 大阪展のあと、09年5月~7月に東京・府中市美術館でも開催。4000部用意した図録は、東京展の途中で売り切れた。4000円台で販売された図録は、展覧会から10年を経たいま、古書店やネットでは2万円ほどの値が付いている。 ラムス展はさらにロンドンやフランクフルト、ソウル、サンフランシスコでも開催。海外版の図録は、アートディレクターのシ
柳之御所遺跡から出土した火舎(香炉)についての岩手県立博物館の内部文書(抜粋)。一部を切り取る「サンプル」を意味する可能性がある「サン」の文字が書かれている=関係者提供 岩手県立博物館(盛岡市)の赤沼英男上席専門学芸員(61)による文化財無断切り取り問題で、国史跡の柳之御所遺跡(同県平泉町、平安時代)から出土した重要文化財3点も一部が無断で切り取られていた可能性が浮上した。毎日新聞が入手した内部資料に切り取り箇所を示したように読み取れる記載があり、県教育委員会はこの3点について調査に着手した。赤沼氏はこれまでの取材に疑惑を否定している。 赤沼氏がこれまでに無断切り取りを認めた文化財に重要文化財は入っていない。県教委によると、重要文化財を無断で切り取った場合は文化財保護法に違反する可能性がある。
岩手県立博物館の文化財無断切り取り問題について、謝罪する佐藤博教育長(左)=盛岡市内丸の県庁で2019年6月14日午前10時半、小鍜冶孝志撮影 岩手県立博物館(盛岡市)の赤沼英男上席専門学芸員(61)が金属製の文化財を無断で切り取っていた問題で、県教育委員会の佐藤博教育長は14日、定例記者会見の中で「県民、関係市町村をはじめ各方面に心配をおかけし、深くおわびする」と謝罪した。県教委は調査チームを設置し、全容解明に努めるとしている。【小鍜冶孝志】 調査チームは13日設置され、教育次長を中心とした県教委の職員らで構成。大学教授や研究者といった複数の外部有識者らにも、既にチームへの参加を打診している。
岩手県立博物館に保存処理を頼み、その後返却された白鳥舘遺跡の文化財。左側の上から2点と右側の計3点はX線写真で切り取りが確認されたが、見た目には分からない=同県奥州市江刺の市江刺総合支所で、藤井朋子撮影 岩手県立博物館(盛岡市)の赤沼英男上席専門学芸員(61)による文化財無断切り取り問題で、赤沼氏が切り取った文化財の分析結果を、同館が開催する一般向けの講座で発表していた疑いがあることが分かった。赤沼氏はこれまで「切り取りは保存処理のために必要だった。了承が取れていると思っていた」と説明しているが、個人的な研究目的だった可能性が高まっている。【小鍜冶孝志、藤井朋子、三瓶杜萌】 同館は月数回、「日曜講座」と題し、同館学芸員や外部講師らによる一般市民向けの講座を開いている。2014年5月25日のテーマは「奥州藤原氏の時代における金工と漆工技術」だった。
岩手県軽米町の大開遺跡から出土したおのの個票。切り取る部分を示す「サンプル」という記載が2カ所にある=関係者提供 なぜ貴重な文化財をひそかに切り取ったのか。岩手県立博物館(盛岡市)の赤沼英男上席専門学芸員(61)による文化財無断切り取り問題で、被害に遭った自治体の担当者や鉄に詳しい専門家は「文化財を長持ちさせるための分析に必要だった」とする赤沼氏の説明を疑い、個人の研究目的だったという見方を強めている。【小鍜冶孝志、藤井朋子】 同県軽米(かるまい)町は2011~13年度、大開(おおびらき)遺跡(縄文・平安時代)など3遺跡の文化財を同館に預けた。サビなどによる劣化を防いで長持ちさせるための「保存処理」を依頼し、切り取りなどを含む「分析」は頼まなかった。毎日新聞は預かった文化財を同館が整理した写真付き個票の内部資料を入手。そこには同町が預けた文化財約20点も含まれていた。
大英博物館がしでかした途方(とほう)もない文化財破壊として知られるのが、エルギン・マーブル洗浄事件である。そう、ギリシャ政府が英国に返還要求を突きつけているパルテノン神殿の大理石彫刻群の話である▲1930年代、これらを見ばえよくしようと、金属たわしと研磨剤で白くぴかぴかに磨いてしまったのだ。これら彫刻はもともと彩色がほどこされていたのだが、色の残っていた部分も化学的な分析のできる痕跡(こんせき)もみな削り取られた▲事件の背景には「ギリシャ彫刻は白でなければ」という西欧近代の美意識があったといわれる。過去の文化や生活を時を超えて伝える文化財を、今の価値観や都合で破壊することの罪深さはいくら強調してもしすぎることはあるまい▲こちらは「Wの悲劇」と呼ばれていたそうな。岩手県立博物館の学芸員が出土した金属製の文化財約200点から所有者に無断でサンプルを切り取っていたという小紙の特報である。「W」は
記者会見で経緯を説明する赤沼英男上席専門学芸員(右)と千田貴浩副館長=盛岡市の県立博物館で5日、小鍜冶孝志撮影 岩手県立博物館(盛岡市)の学芸員が所有者に無断で金属製の文化財の一部を切り取っていた問題。5日の同館の記者会見には、無断切り取りをしていた赤沼英男上席専門学芸員(61)本人も同席して謝罪した。赤沼氏を知る関係者は「保存処理のすべてを仕切り、大きな権力を持っていた」と語った。【小鍜冶孝志、日向米華、藤井朋子】 赤沼氏は1980年の開館当時から博物館に勤務する最古参の学芸員。以前から金属製文化財の保存や修復に精通する東北有数の研究者だった。東日本大震災後は、津波をかぶって傷んだ被災地の古文書や標本などを応急処置・修復する「文化財レスキュー」と呼ばれる分野で同館の陣頭指揮を執って一躍脚光を浴びるようになり、メディアに多数取り上げられた。「レスキューで孤軍奮闘していた功労者」とも評価され
岩手県奥州市の白鳥舘遺跡から出土したくぎとみられる文化財(右)などのX線写真。見た目は修復されていたが、X線写真では無断で切り取られたW形の跡が浮き上がっている=関係者提供 文化財を守るはずの博物館が、貴重な出土品をひそかに切り取っていた。岩手県立博物館は4日、200点もの無断切り取りを認め、その理由について「通常の手続きで了承を取っていると思った。伝達不足だった」と内部の連絡ミスとの釈明を重ねた。切り取られた形状から、関係者は「Wの悲劇」と呼んでいたといい、文化財を預けた自治体にも大きな衝撃を与えている。【藤井朋子、小鍜冶孝志】 「なんのために」「どこまでやっているのか」。県立博物館学芸員による無断切り取りに、自治体の担当者からは疑問の声が噴出した。
引っ越しができるようにとパッキングした植物標本を手に取る三島美佐子・九州大准教授=福岡市東区で、山崎あずさ撮影 昨年秋に福岡市西区の伊都キャンパスへの移転が完了した九州大で、箱崎キャンパス(同市東区)内にある九大総合研究博物館が所蔵している約145万点に及ぶ標本や資料などの新たな保管先が見つかっていない。伊都キャンパス内の博物館新設計画が頓挫しているためで、散逸や劣化を懸念する学会や住民らが適正保全を求めている。 創立100年余りの歴史を誇る九大が所蔵する標本や資料は、動物▽昆虫▽植物▽化石▽鉱物▽古人骨――など約750万点。このうち各学部や大学院などが所有する600万点余りは移転に伴い伊都キャンパスの各研究院などに移された。しかし、博物館が所蔵する約145万点が行き場を失い、その大半は同館に残ったままだ。当初は伊都キャンパス内に新設される博物館に移す計画があったが費用面から進んでいない。
天理市守目堂町の天理大学付属天理参考館が所蔵する「伝古代ギリシャ角杯」について、同館の巽善信・学芸員が、古代ギリシャ製ではなく、ルネサンス初期(15世紀ごろ)に模して作られたとする研究成果をまとめた。巽学芸員は類似の作品などについて情報提供を呼び掛けている。【藤原弘】 古代ギリシャでは、紀元前4世紀には動物頭の飾り付きの角杯ができたとされる。この角杯は1958年以前に同館が古美術商を通じて購入し、過去には紀元前4世紀の青銅製のものとして展覧会で公開されたこともある。 巽学芸員は今回、奈良教育大の金原正明教授との共同研究で蛍光エックス線分析を行い、さらに形状などの分析を加えた。その結果、素材は青銅ではなく、銀を主体に2~3割程度の銅を加えた合金だった。角杯の胴部の先端部に飾りとして付けられている獅子頭が、通常とは上下逆向きであることも判明。「古代ギリシャのものではない」と判断した。
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