「地球がくそヤバい!」と謳った「前章」から「君は僕の絶対だから」と宣言する「後章」へ。浅野いにおの漫画をアニメーション化した映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(以下、『デデデデ』)は、原作漫画の連載がスタートした2014年から今に至るまで約10年のあいだ、日本で生きてきた僕たち/私たちが確かに見たり聞いたり感じたりしてきたことの数々が、空想科学を用いた“メタファー”としてあちこちにちりばめられた、異様に情報量の多いSF大作になっている。2011年の東日本大震災で目にしたさまざまな状景の記憶と無力感。原発と放射能の問題。不透明な政府とSNSで飛び交う流言飛語。果てはコロナ禍の不気味な静寂まで。それはもう、めまいがするほどに。とはいえ、その導入は至ってシンプルだ。あるとき突然「侵略者」とおぼしき巨大な母艦が地球にやってくる。しかし母艦は東京上空に留まったまま微動だにしない。
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