エネルギー安全保障と気候変動は、人類を襲う2大テーマだ。それに対してどんな対策が取られているのか。我々が目にするのは、政策が利権団体に牛耳られるお馴染みの光景である。好例がバイオ燃料の補助金だろう。供給不安と気候変動に対処するというお題目の下、この政策は相も変わらぬ問題を抱えている。保護主義、生産者への無尽蔵の支援、経済合理性の欠落だ。 間違いだらけの補助金制度 経済協力開発機構(OECD)諸国の補助金は既に年間130億〜150億ドルに上る。だが、それで作られるバイオ燃料は液体輸送燃料全体の3%以下。バイオ燃料のシェアを30%に引き上げるには年間1500億ドル以上かかる。 こうした政策の合理性を誰かが検証すべきだった。国際持続的発展研究所(IISD)から素晴らしい報告書が出た。結果は無残なものだ。 政策というものは非常に不合理になり得る。例えばブラジルは世界一効率的なバイオ燃料の供給国だが