当時、上場企業に比べはるかに緩かった会計基準がもたらしたリスク管理欠如の結果だが、手数料を当てにする販売側の思惑も指摘されており、訴訟に発展するケースもある。同様の事例を持つ英国では、行政当局が乗り出して一部損失の返還で合意するなど進展がみられるが、日本では、損失補てんを禁止する法律との関係でこうした行政主導の解決は想定されていない。 弘法大師の開創以来1200年近い歴史を持つ和歌山県の高野山金剛峰寺。世界遺産にも指定されているこの古刹を総本山とする高野山真言宗も、その一つだ。同宗では、今年2月、過去数年間にわたる資産運用の損失が通算で6億8900万円に達した、と発表した。これをきっかけに、宗派執行部に対する内部批判が高まり、僧侶代表による宗会が、当時の庄野光昭宗務総長に対し不信任案を可決するという前例のない事態に発展した。