9月19日から東京・永青文庫で始まり、連日大盛況とのニュースが報じられている「春画展」。 今の日本人の観点から見ると春画は「単なるいかがわしい絵」といったイメージで捉えられがちだが、2013年にロンドンの大英博物館で行なわれた「春画――日本美術の性とたのしみ」は、なんと9万人近くの来場者を記録し、そのうち半分は女性であったという。 単なる「エロ絵」ではなく、芸術としても世界で注目を集める「春画」の魅力とはいったいなんなのか? この機会に簡単に紹介してみたい。 まず、春画が世界で「芸術」として見られる理由、それは春画を描いている絵師たちが超一流の浮世絵師であったということがあげられる。日本史の教科書でも出てくる菱川師宣、喜多川歌麿、鈴木春信など、有名絵師たちはほぼ全員が春画を描き残した。これがいかに特異なことか、「美術手帖」(美術出版社)15年10月号のなかで、日本近世文学を専門とするロンド